もう一つの天国と地獄
原作の告白放置のまま時が過ぎたら・・・という感じです。
単独でもお楽しみ頂けますが、『茨姫は棘だらけの寝台で』『異次元イルミネーション』『自らの蔦と棘で絡め取られて』『呪いが解けたその時には』『天国と地獄』を読んでからの方がより理解しやすいと存じます。
時系列で言うと『天国と地獄』『舞台裏で嗤う』とほぼ同時期のお話になります。
作品は、カテゴリ欄のコナン二次小説 ”原作 その後”にございます。
この記事の右上の”原作 その後”をクリックしても飛べます。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロインファンはご遠慮願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
日本でとある警察官が未来ある探偵の為に暗躍している同じ頃、海を隔てた大都市では、若夫婦を案内するFBI捜査官達がいたりした。
<米国 自由の女神行きのフェリー船乗り場にて 朝8:50>
和気藹々とした美男美女4人組は、自由の女神があるLiberty Island行きのフェリー乗り場にいた。
「クルーズ船で行くのね。留学中は観光なんかしなかったから、何だか新鮮ね。」
「そうか。」
「エリス島の廃墟ツアー付けておいてくれたんだよな、赤井さん!」
「勿論。事前予約済だ。坊やの頼みだからな。」長身の男性がさらりとスマホの画面を三人に見せる。
この時のFBI捜査官の顔をとある日本人が見たら、「事前予約くらいでドヤ顔( ・´ー・`)するなぁ~!!!赤井ィィ!!!」と戦いのゴングが鳴ったに違いないが彼は遠く離れた日本の地にいる。よって至って静かな風景のままである。
「Thank you!」
「もう、坊やじゃないじゃないの、シュウってば!Guyでしょ。あ、乗船始まったみたい。行きましょう!」
彼らの周りだけ異世界のような空気感が漂う。
「ねえ、あの美少年と眼光鋭いダンディイケメンなに…!?」
「声掛けてみる?」
「いや、レベルが違い過ぎて…空気が違う…あれは眼の保養用よ…!」
「クールビューティーな茶髪の子と金髪の美女も綺麗。やっぱりカップルかな~。」
「お似合いよね。羨ましいけど、嫉妬は全然湧かないのは何故!?」
「それな。・・・多分別世界の住人だからじゃない??ってうちらも乗らなきゃ!」
彼らは近くにいた日本人観光客にこんなこと言われているのも露知らず-。
<日本の警察庁警備局警備企画課にて 夜22:10>
(赤井から?何だ?忙しい君に癒しをやろう??は?)
アプリを開くと其処にはクルーズ船の中で赤井が新一、志保らと共に自由の女神像を背景に撮ったであろう写真がアップされていた。
「くっ!確かに元気そうな新一君と志保さんは癒しだ!!だがな 赤井、貴様はいらん!ってお前が一番大きいじゃないか!」
赤井自身が腕を伸ばして自撮りしたのであろうそれは確かに彼が一番ドアップで写っていた。
距離が少しあることと元々小顔のせいもあるだろうが、工藤若夫妻は二人合わせても彼一人分の大きさくらいしかない(笑)
「こんなんで癒しになるかぁ~。赤井、貴様は写らんでいいんだ。1万歩譲って撮影者に徹してやってたら誉めてやらんでもないっってのに。どこまでも嫌味な奴だあああああああ!!」
妙なハイテンションさが怖い捜査官が其処にいた。部下達は顔色を窺っている。
決済待ちの書類が山積みで崩れそうになっているのは最早お約束である。
「降谷さん。…ハーブティー入れましたから。」
(組織壊滅の後始末でお疲れなんだな。)
カフェイン過剰摂取を心配して、そっと差し出されたハーブティーに生真面目な部下:風見の優しさが詰まっていた-。
<米国 メトロポリタン美術館前にて 昼13:00>
ルーブル美術館に次いで世界第2位の来館者数を誇る美術館であるニューヨークのメトロポリタン美術館前に佇む4人がいた。
「屋台で飯食ったし!さー見るぞ!志保、どのフロアから観ようか?」
「迷うわね。どれも見応えあるものばかり。楽しみね。所蔵数が世界有数の美術館だもの。」
「300万点以上だっけ?それで国立じゃなくて私立ってのがすげえよな。・・・ジョディ先生来れなくて残念。」
「今日1日で終わらないだろうから明日も来るといい。」さり気に日程を延ばしにかかる狙撃手。
(あの猪娘の報道が始まった。眼に触れさせたくないと優作さんから連絡が来たし。ここで釘付けさせよう。)
「あ、降谷さんへのお土産ここで買っていこうぜ。何がいいですか?と。」入場前にとスマホを素早く操作する名探偵。
「ちょっと新一、貴方 時差考えなさいよ。日本は深夜よ。すぐに返事来ないわよ。」
「わーってるって。でも降谷さんって朝ジョギングとかしてそうだし、朝7時頃には返事来そうじゃねえ?」
「こっちの17時くらいね。つまり、閉館時に買って行こうって腹ね?」
「ああ。ま、間に合わなくても明日も来てもいいし・・・ってもう返事キタ━(゚∀゚)━!」レスポンスの速さに慄く新一。
「ええ?普通の人は寝てるわよね。・・・どうせまた徹夜でもしてたのね。で何ですって??」
ちょっと呆れながらも切り替えが早い志保。
「日本人は働き過ぎだと思うぞ・・。これがJapanese社畜・・・。」ぼそりと零す赤井。
幸いと言うべきかそれは3人の耳には届かなかった。
伝言という形であったとしても、降谷に聞かれていたら、また「赤井ィィィィ!」となっていたであろう。
「何でもいいって。」
「・・・食事について希望聞いて、主婦が困る台詞じゃないの、それ・・・。」
「んなこと俺に言われても。」
「ウィリアムなんかどうだ?」
「へ?」「え?」
「赤井さん、それだけじゃ分かりませんって。えっと、エジプト館のカバで人気のキャラなんです。トートバックとかスカーフとかキーホルダーとかとにかく色んなグッズが売ってるんですよ。」
本日の運転手キャメルが言葉足らずの上司の説明を懸命に補足した。
「へ~。」「そうなの。」小首を傾げる。
共にいる時間を重ねてきて、顔の表情、仕草が似てきた夫婦であった-。
<日本の警察庁警備局警備企画課にて 深夜2:00>
(ん?新一君から?お土産は何がいいかって?君のその優しい心だけでプライスレスだよ・・・・!!>< マイ エンジェル!)
残業続きで深夜テンションが異常に高くなっている降谷にとってそれはまさに癒しであった。
「(君が選んでくれるなら)何でもいいよっと。」
…この時、彼はミスを犯した。君が選んでくれるなら という部分をきちんと書くべきであった。
何故なら、付き添いの天敵の言葉を真に受けて彼のエンジェルがとても素直にカバのウィリアム君グッズを買ってしまったからである(笑)
まあ選んだのは新一と志保の二人なので良いかもしれない。
しかし、そもそものグッズ提案をしたのが”彼”だったと知ったら…どうなるのかは誰も知らない-。
<米国 地元民が良く行くレストランにて 夜20:00>
「ここはガイドブックには載ってないとっておきのお店なのよ!」ジョディが眼鏡に手を当てながら自慢げに言う。
「そうなんですか。」「そうなのね。」
「何頼む?」
「まずは飲み物とサラダ、次は肉か魚かしら。うーん悩むわね。」
「どれにすっかな-。」
「そういう時はあの黒板見ればいいのよ!本日のおすすめが書いてあるわ。」
「俺は酒さえあればいい。バーボン1杯頼む。」
「赤井さん、お酒だけじゃなくて何か食べて下さい。胃に入れてから飲んで下さいよ!えっとほら、パンとかここの名物のロブスターとか。」
「ふむ。」
(仕事以外だとキャメルさんが赤井さんの世話人と化している…!)
(日常生活だと、とんと無頓着になるタイプね。)
彼らの思わぬ人間関係を垣間見て、アイコンタクトする夫婦が其処にいた-。
<日本の警察庁警備局警備企画課にて 朝9:30>
(ん??今度は志保さんからだ。えっと何々地元ならではの美味しい店に来てます、か。俺も行きたい…!)
徹夜明けで食べる朝食はコンビニのパンと珈琲である。
目の下に隈もあるし、周りはむさ苦しい男ばかりで、ちょっと…否、かなり侘しい。
そして朝日が妙に目に眩しいのは気のせいではないだろう。
(理想は自宅で僕特製のフレンチトーストと珈琲とサラダなんだが。)
「へえ、向こうの店のレシピか。…よく聞き出せたな。まあ新一君と志保さんならね(⋈◍>◡<◍)。✧♡」
”新一が食べたいって言うから日本でも作ろうと思うのだけれど、降谷さんならより日本人の口に合ったアレンジが出来るんじゃないかと思って♡”
この文章が降谷のやる気にスイッチを入れた(笑)
「任せて…!志保さん。アメリカのよりもっと美味しいものを新一君と一緒に食べさせてあげるよ!」
(こうしちゃいられない。さっさと仕事終わらせて買い出しだ…!和風にするなら白味噌とか醤油がいいか。それとも…。)
イキイキと仕事を再開し始めた上司に「え?もう復活した?」「人間か?」目を剥いた部下達の視線が集まったのであった-。
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後書
『天国と地獄』でエルリア様にコメントレスした時に『これ天国の赤井さん(新志と楽しく食事に観光)と地獄の降谷さん(事後処理の山となった仕事 毛利一家潰しの報道誘導 癒しの新一がいない)になるのでは??(´∀`*)ウフフ』とふと思いついたのが執筆の動機です。エルリア様とのコメントの遣り取りはネタの宝庫ですwww
エルリア様 ありがとうございましたm(__)m
ニューヨークの観光はネット情報からです。ゆるーく書いております。
気軽に海外旅行出来ない昨今、旅行気分を楽しんで頂けたら嬉しく存じます。
今回のポイントは悪気なく降谷さんの地雷を踏む赤井さん、無邪気で素直な新一君、美味しい料理を降谷さんに作らせようと目論む強かな志保さん(笑)です。
安定の赤井さんと降谷さんのからみ?もお楽しみ下さい。
ちなみに・・・新志の新婚旅行 書いてない英国編、フランス編 どなたか書いて下さいませんか~(笑)
雪月花桜が読みたいです!(正直過ぎ!) 大募集中でございます!><(ザ・他力本願ここに極めり)
誰か私にクリスマスプレゼントかお年玉をお恵み下さいませ・・・!
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
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