秘められた言の葉
3月14日ホワイトデイの当日、小鳩は卒業したばかりの高校の友人2人とファミレスでランチをしていた。
「ねね小鳩ちゃん、それ初めて見るネックレスね~。新しいし」と言ったのは理知的な顔立ちの早苗。
「あ、はい!藤本さ・・じゃなくて清和さんがくれたんです。今朝あの、ホワイトデイだからって。」
「うわーいいな、高そうね シルバー?プラチナ?付いてる石はダイヤ?」
宝石の価値を気にしているのはかなり派手な怜奈。
「さあ?小鳩良く分からないです。」
小鳩にとっては貴金属が何とか付いてる宝石が何かという事はあまり重要ではなかった。
重要なのは、夫となった清和さんがくれたという事。
それだけで彼女にとっては宝物になった。
「しかし、結婚したって聞いた時はびっくりしたけど、ラブラブで何よりだね~。」
「そうそう。もう驚いたし!」
「は、はい。すみません。」
「いや、別に責めてるわけじゃないし。」
ややこしいから、卒業までは黙っておいた方がいい-という清和の助言通り、小鳩は何も言わず卒業式直後に
友人達に打ち明けたのだった。
その時の驚き具合といったら、かなりのものだった。
「「ちょっと見せて~。」」
「あ、はい。」
外して二人に見せる。
「これ鳩だね。」
「あ、本当だ。」
そのネックレスは小さい鳩のモチーフ。目にダイヤモンド、そして羽の端に緑、紫、赤の宝石が付いてる
デザインだった。
「そっか小鳩ちゃんの名前にちなんであるのね~旦那様やるう~。」
「ええ!?そうなんですか!?可愛い鳥さんだとばかり!?」
顔真っ赤にして驚く小鳩。
((気づいてなかったの))
二人して呆れる。小鳩はこういうことに鈍い。
「愛されてるわねえ~。」
「うん、うん」
その後ひとしきり、新婚生活はどうだと冷やかされて楽しい時間は過ぎていった。
「じゃあ、小鳩行きますね。楽しかった~また!!」
嬉しそうに微笑みながら大きく腕を振って小鳩だけ店を後にした。
最初から昼だけという約束だったので、早苗も怜奈も笑顔で見送る。
そして彼女の姿が完全に見えなくなった頃。
後ろの席に声を掛けた。
「という訳だから諦めたら?木内君」
「うん。もう無理じゃない?」
「るせっ!」
そこに居たのは高校時代のクラスメイト・木内。酷く打ちひしがれた顔をしている。
彼はずっと小鳩が好きで卒業式に告白しようと思っていたのである。
しかしまさかの「結婚しました」発言によって出鼻をくじかれていた。
いきなり過ぎて、諦められなかった。
彼女自身が後見人みたいな事を言っていたので、藤本の事はただの兄代わりだと思っていたのだ。
同じく急な話過ぎて、お人好しな小鳩を心配している二人に頼み、本当に彼女は結婚して幸せなのか、
騙されてないのかをそれとなく確認してもらったのだ。
もしも、不幸せなら、自分にもまだチャンスがあるとも思った。
「そりゃ、10以上も年の離れた人と高校卒業した途端、結婚なんて
遺産目当てじゃないかって心配したけど、全然違うみたいだし。」
「だよね~。何より小鳩っちが幸せそうだし。」
「・・分かんねえだろ、まだ」
「だってあんな高価なネックレスがチョコのお返しだよ?大事にされてるじゃん!」
「ただ金があるだけかもしれないだろ!」ふてくされてく木内。
「それだけじゃないわよ。」と一人感心したような早苗。
「え?何?早苗他にも何か気付いたの?」
「あれね、アンティークジュエリーよ、きっと。・・やるわね。」
「何だ??それ?」
「え?何それ?」
「あのね、鳩は小さくて小鳩ちゃん自身を示してるでしょ!?」
「うん。そうだね」
「だから後は宝石なの。」
「「?」」
早苗は傍らのナプキンを取り出し、ボールペンで何やら書きだした。
Diamond
Emerald
Amethyst
Ruby
「これ、さっきのネックレスについてた宝石だよね。」
「うん。これのね、頭文字を繋げてみて。」
「「頭文字??」」
「そう、つまりDiamondはD、EmeraldはE、AmethystはA,RubyはR」
「あ~!!DEARになるよ。」
「そうそれにモチーフ併せるとね」
「えええ~!」
Dear 小鳩
~愛する小鳩へ~
宝石に秘められた言の葉。
「しかも、小鳩ちゃん自身には何にも言ってないところが、また。」
「ねね小鳩ちゃん、それ初めて見るネックレスね~。新しいし」と言ったのは理知的な顔立ちの早苗。
「あ、はい!藤本さ・・じゃなくて清和さんがくれたんです。今朝あの、ホワイトデイだからって。」
「うわーいいな、高そうね シルバー?プラチナ?付いてる石はダイヤ?」
宝石の価値を気にしているのはかなり派手な怜奈。
「さあ?小鳩良く分からないです。」
小鳩にとっては貴金属が何とか付いてる宝石が何かという事はあまり重要ではなかった。
重要なのは、夫となった清和さんがくれたという事。
それだけで彼女にとっては宝物になった。
「しかし、結婚したって聞いた時はびっくりしたけど、ラブラブで何よりだね~。」
「そうそう。もう驚いたし!」
「は、はい。すみません。」
「いや、別に責めてるわけじゃないし。」
ややこしいから、卒業までは黙っておいた方がいい-という清和の助言通り、小鳩は何も言わず卒業式直後に
友人達に打ち明けたのだった。
その時の驚き具合といったら、かなりのものだった。
「「ちょっと見せて~。」」
「あ、はい。」
外して二人に見せる。
「これ鳩だね。」
「あ、本当だ。」
そのネックレスは小さい鳩のモチーフ。目にダイヤモンド、そして羽の端に緑、紫、赤の宝石が付いてる
デザインだった。
「そっか小鳩ちゃんの名前にちなんであるのね~旦那様やるう~。」
「ええ!?そうなんですか!?可愛い鳥さんだとばかり!?」
顔真っ赤にして驚く小鳩。
((気づいてなかったの))
二人して呆れる。小鳩はこういうことに鈍い。
「愛されてるわねえ~。」
「うん、うん」
その後ひとしきり、新婚生活はどうだと冷やかされて楽しい時間は過ぎていった。
「じゃあ、小鳩行きますね。楽しかった~また!!」
嬉しそうに微笑みながら大きく腕を振って小鳩だけ店を後にした。
最初から昼だけという約束だったので、早苗も怜奈も笑顔で見送る。
そして彼女の姿が完全に見えなくなった頃。
後ろの席に声を掛けた。
「という訳だから諦めたら?木内君」
「うん。もう無理じゃない?」
「るせっ!」
そこに居たのは高校時代のクラスメイト・木内。酷く打ちひしがれた顔をしている。
彼はずっと小鳩が好きで卒業式に告白しようと思っていたのである。
しかしまさかの「結婚しました」発言によって出鼻をくじかれていた。
いきなり過ぎて、諦められなかった。
彼女自身が後見人みたいな事を言っていたので、藤本の事はただの兄代わりだと思っていたのだ。
同じく急な話過ぎて、お人好しな小鳩を心配している二人に頼み、本当に彼女は結婚して幸せなのか、
騙されてないのかをそれとなく確認してもらったのだ。
もしも、不幸せなら、自分にもまだチャンスがあるとも思った。
「そりゃ、10以上も年の離れた人と高校卒業した途端、結婚なんて
遺産目当てじゃないかって心配したけど、全然違うみたいだし。」
「だよね~。何より小鳩っちが幸せそうだし。」
「・・分かんねえだろ、まだ」
「だってあんな高価なネックレスがチョコのお返しだよ?大事にされてるじゃん!」
「ただ金があるだけかもしれないだろ!」ふてくされてく木内。
「それだけじゃないわよ。」と一人感心したような早苗。
「え?何?早苗他にも何か気付いたの?」
「あれね、アンティークジュエリーよ、きっと。・・やるわね。」
「何だ??それ?」
「え?何それ?」
「あのね、鳩は小さくて小鳩ちゃん自身を示してるでしょ!?」
「うん。そうだね」
「だから後は宝石なの。」
「「?」」
早苗は傍らのナプキンを取り出し、ボールペンで何やら書きだした。
Diamond
Emerald
Amethyst
Ruby
「これ、さっきのネックレスについてた宝石だよね。」
「うん。これのね、頭文字を繋げてみて。」
「「頭文字??」」
「そう、つまりDiamondはD、EmeraldはE、AmethystはA,RubyはR」
「あ~!!DEARになるよ。」
「そうそれにモチーフ併せるとね」
「えええ~!」
Dear 小鳩
~愛する小鳩へ~
宝石に秘められた言の葉。
「しかも、小鳩ちゃん自身には何にも言ってないところが、また。」