怪盗な名探偵

2015.09.10 00:00|一滴の水 派生小説
突然だが彼、荒木仁は困っていた。彼の職業は監督である。
大手ジュエリー会社とフサエブランドが大々的なコラボ商品を新発売するにあたり、CMを担当している。
何とかつて日本中の男を魅了した伝説の女優 旧姓:藤峰有希子が、フサエデザイナーと知り合いで引退の身でありながらも出演をOKしてくれたのは僥倖だった。
その後、もう一人の出演者になる芸能人を厳選し、今若手の中で注目株の歌手が決定されたまでは良かった。
しかし何とその若手歌手が、まさかの妊娠に不倫騒動を起こし、芸能界から現在ほぼ追放の身になってしまったのだ。
当然だが好感度重視のCMに起用できるわけがない。
(今から他のアイドルか女優を決めなくていけないなんてな。時間ほとんどないぞ・・!!)
沢山の芸能プロのタレント年鑑を見ながら唸っていた監督と助監督を気遣い、「気分転換しましょう。」と有希子とフサエが、東都大学の学祭に誘ってくれたのだ。
彼女らの心遣いは嬉しいが、本当に時間がなく監督は焦りで一杯であり、心はどうしてももう一人の出演者に及ぶ。
(伝説の女優が変わらぬ美しさと愛らしさを持っているなら、好対照で若手で色気があるタイプにしたのだが・・他の候補は可愛いが似たりよったりだ。)
出演者の選考が難航している理由は”若手で独特な大人の雰囲気を持っている”というコンセプトによる。
他の候補は流石にタレントだけあって顔は整っている。しかし、当初決定されていた彼女の独特な色気に比べ、今一つ決定打がないのだ。
(かといっていい加減選ばんと、もう来月には撮影だしな。)
タレント自身のスケジュール調整も必要であるから、本当に切羽つまっていた。
「ほらほら、監督さん。眉間に皺寄ってますわよ?今日はせっかくだから楽しみましょう。」
「あ、はい。」
「有希子さん、もうすぐ開場じゃない?飲み物買ってホール行きましょう。」
「そうね。やっぱり劇は良い席で見てこそよね。」
「「・・・劇?」」盛り上がる二人を尻目に、監督と助監督の声がハモる。
「あら、やだ?監督さんってば聞いてなかったの?これから新ちゃんが、劇に出るの~。」
「ねえ、新一君なら絶対カッコイイ怪盗キッドを演じてくれるわ。」
どうやら、彼女の息子が主役を演じるらしい。
(にしても探偵が怪盗役って何なんだ・・!!)

そうして見た劇はと言えば、宝石を警護する警察役の生徒たちの中から
かの名探偵が白い衣装に身を包み煙幕と共に現れ、一瞬の内に場を支配した見事な登場には息を呑んだ。
美少年と青年と間に位置する秀麗な美貌に一気に注目と女性たちの黄色い悲鳴が上がる。
彫刻のように整った造作、神秘的な雰囲気等、プロである彼の眼から見ても素晴らしい。
唇から、淀みない良く通る声が涼やかに響きわたる。
「紳士淑女の皆様、ようこそ。それでは月夜の下で、本日の華麗なるショーを始めましょう。」
そう言って手を空中に翳すと幻の花火が打ちあがったのが幕開けだった。
自分の魅せ方を心得た彼が織りなすマジック-日本一の理工学部の元に提供された一流の光と音付である-で彩られた舞台は正に圧巻だった。
「追え~っ!!奴を捕まえろ!!」
「おやおや、無粋ですね。」
頭脳派と思われた彼だが実に俊敏な動きで、警部役達を翻弄し、気が付くと夢幻かの如く消え失せていたのである。
割れんばかりの拍手で舞台は終了した。
キッドが嫌いな青子が「新一君のキッド、凄いカッコ良かった~!!・・上手く撮れてるよね?帰って来たら快斗と見ようっと。」
「本物のキッドよりカッコイイよ!!」と言っている時点で成果は推して知るべし。
ホールで開催された他の演目や音楽が霞むほどの大好評であった。
当日アマチュアマジシャン大会本予選でいなかった為、後日彼女の撮影した劇を見た快斗は
「新一、目立ちたくないとかって主演ごねてた割に何この怪盗っぷり。・・探偵より合ってるんじゃね!?」
「ってかもう新一が目立たないとか無理だって。」と本音駄々漏れな感想を本人にぶつけ、
「なんで、てめーがやんねえんだよ!!本物のくせに!!」と蹴られるのは数日後の話である(笑)


さて話を戻し、こちら観客席にいる閉幕後のCM撮影隊。
「さっすが、新ちゃん。カッコイイ怪盗キッドだったわ~。」
「ね~あの最後の立体映像使ったマジックって確か二人が開発してた機械のじゃない?」
「そうなのよ、博士と志保ちゃんが二人で開発したグラスなしで3Dになる映像なのよ。今特許申請中なの。」
「んまあ~さすが凄いわ。」
「ん?博士に惚れ直しちゃった、フサエさん??」
「そそ、そんな////」
盛り上がる有希子とフサエを余所に監督と助監督は茫然としていた。
(こんな所にこんな逸材がいたなんて・・!!)
(候補者のアイドルより美人じゃないか。)
(若手で独特な大人の雰囲気を持っているという今回のコンセプトに丁度良いじゃないか!!)
(オーラが違う!!芸能人でも滅多にいないぞ、ここまでの持ち主は!!)
(しかも組織殲滅した名探偵という知名度もあるし!)
(おまけに出演者の息子で、キャラの対比という意味でもぴったり!)
((伝説的女優で可愛らしさを持つ藤峰有希子と組織殲滅した名探偵な息子で、美少年な工藤新一))
((いける!!絶対いけるぞ!!ヒットするぞ!!))
ここまでの思考何とコンマ2秒!!
浮き沈みの激しい芸能界の波を乗り越えてきた彼らは自身の直感を信じている。
二人はどちらからともなく顔を見合わせた。彼らの心は語らずとも分かる、今一つである!!
((絶対にCMに出演してもらうぞ!!))勢い良く女優に特攻する。
「「有希子さん!!息子さんの事でお話が!!!!」」
そうして、渋る名探偵を女性陣で説き伏せて撮影する事になったのだが、それはまた別に紙幅を尽くして語りたい話である。

~前日談~
「うう、やりたくない。な-んで俺が気障なこそ泥役!!」
「ちょっと新一。それ俺に向かって言う?ねえ、言っちゃいます?」
「やかましい!!あんな時代錯誤な白い衣装なんざ、着たくねえ!!」
「ひでえ。だからさ、それを俺に言う?」
「てめーが引き受けりゃ済む話だろうが!!」
「だってお姉さまな先輩方、みーんな新一推しなんだよ!?」
「くっ!!本物のくせしやがって!!」
「それに俺、その日大会の予選あるし。」
「んなの、お得なマジックっでどうにかしろや!」
「無茶だよ!!無茶ぶりがひどいよ。・・・知ってたけど」最後だけ小声で呟く。
彼がコナンの時のあれやこれやが彼の脳裏に展開されていたのは言うまでもなかったりする。
「何か言ったか?」背後にああん?とヤのつく職業の方より迫力ある眼力で睨まれるとより一層過去の危機一髪な出来事が蘇る。
「まあ、多数決で決まったから腹括りなよ、新一。」
「陰謀だ・・!!俺目立ちたくないのに。大道具やりたかったのに。」
「いや~圧倒的多数決だからね。しかも適材適所よって言うリーダーの言葉がすげえ御尤も。」
過去の反省から目立つ事を避けようとする新一の努力は買うが、両親が共に有名人且つ既に実績から本人も有名人な今ではそれは空振りに終わっている事が多い。
(本人がまた自分の魅力に気付いていないっていうかさ~。)
よく似た容姿だが新一の方が華がある事を快斗は熟知していた。
(ま、俺だって舞台だったら負けねえけどな。)
問題は工藤新一という男はそれを素でやってしまっているのだ。
洞察力優れた名探偵の弱点は、自己分析が出来ていない事であった。
***************************************************
後書 9月10日で工藤の日WW
今回は名探偵が怪盗を演じるというギャグテイストなお話です。
幾つかこのネタな小説を読んで楽しくてX2、遂に自分で書いてしまいました笑
まさかの監督視点になり、劇中の描写が少なくなってしまったのが残念。
他サイトさんの素敵な名探偵キッド(観客に快斗いたりします。)で想像を補って下さい(こらこら)
そして、高校の学生で園子脚本な劇ネタが多い中、飛び入学した為に大学で一番年下になり、年上なお姉さま方に逆らえず
多数決の原則によりしぶしぶ出た劇でやっぱり目立ちまくってしまってる我らが新一君をお楽しみ下さい笑
CMでも人を魅了しまくり、けど自身の事に無頓着な彼に快斗&志保をはじめとする面々は呆れ顔しているはず(笑)

3D mapping5
劇中のマジックイリュージョンはこんな感じです(^^♪

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ギャグテイスト話

あおい様

こんばんは!!一番乗りなコメントありがとうございます(*´▽`*)
ギャグテイスト話気に入って頂けて何よりです
私も大好きで書いてしまった次第です(笑)
特に3/4のLINE話とか楽しく読みふけってたりww

Private eyeシリーズは、掛け合いのテンポの良さもそうですが、
ホームズ(黒猫)の賢さととガーネット(世紀末~でコナン君に怪我を直してもらった鳩)の便乗さ・愛くるしさも魅力ですね(^◇^)

またのお越しをお待ちしております♪

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CM放送後の騒動www

紅玉様

こんばんは!!いらっしゃいませww
企画したのはですね、藤子ちゃんという某お姉さんと名前の読みが一緒な大学4年生。
ナイスバディ且つ性格は園子を彷彿とさせるお祭り大好きなゼミのリーダー格な人です。
そう、青子ちゃんが新一君演じるキッドを褒めるのはお約束(笑)
私も新一君のキッドっぷりは見てみたいです。

<新一君がCMデビューしたら芸能界が放っておかないと思います。
実はその通りで、メチャ勧誘されるのを何とか逃げ切ります。

<CM放送後の騒動を読んでみたいです。そうそう、私も3/4組のLINEの話は好きです。
<新一君・快斗君の服部君弄りや探偵側が快斗君=キッドと気付いていながら見守っているのが面白<くて笑いながら読んでいます。
わー趣味一緒ですね。
ね、快斗君=キッドと気付いているので、次回の宝石は魚の中に隠して、警察の人がリラックスできるよう「お○か○天国」を流しておこうとか、博士に最終メカ作ってもらうとか怪盗本人的には
待ったx2な内容wをナチュラルにしてて、果ては機嫌悪い工藤がキッドをLINE呼び出しする暴挙(爆
テンポ良くて笑えて仕方ないんですよね。
これも書いてみたいネタです。本編では怪盗を廃業してから4人が正式な知り合いになるので
元怪盗と3人の探偵によるLINEになるでしょうがね(^◇^)
ありがとうございました!!ではまた是非いらして下さい
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30代OLが歴史・節約・日頃・二次小説のことを書き綴っています。 コメント大歓迎★ ですが、宣伝や本文に何も関係ないもの もしくは激しく不愉快、コピペ等、そういった類は、私の判断により 誠に勝手ながら削除の方向です。楽しく語りたいです♪ 二次創作小説もありますが、このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。

雪月花桜

Author:雪月花桜
タイトル通り歴史大好きな女がブログしてます。
歴史を元にした小説なんかも大好きでそれらについても語ったり、短編なんか書いてみたいです。
現在それ以外でも二次小説をupしておりますし、OLなりの節約・日々の徒然を語っています。

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