夢の絆⑩~工藤優作の最高傑作~
夢の絆シリーズ コナン小説で逆行物 新志となります。
よって下記注意書きをお読みになられてから、ご覧下さい。
***注意書き***
本シリーズ作品はヒロインあまり出ませんが彼女には優しくありませんので、RANちゃんファン派はご遠慮願います。
後、服部君にも優しくありませんのでご注意願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
*************
注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
黒の組織は見事に壊滅した。
まだ残党が残っている事実と安全面上でも公安、FBI、CIA、インターポール等世界各国の警察組織の威信もあり、その総指揮官が10代の少年だなどと公表できるはずがない。
だが何処にでも目敏い人というものはいるもので、とある敏腕記者がその機密を入手してしまった。
残党の影響を説明し、情報規制を掛けたがせっかくの特ダネを報道出来ない記者は交換条件とばかりに代わりのスクープを求めてきたのであった。
そして白羽の矢が立ったのが、公安のエースこと降谷零とFBIきっての狙撃手 赤井秀一である。
組織殲滅作戦以外での工藤新一の活躍を彼らから語ってもらい、それを記事にするという事で、手を打ったのだ-。
****************
「何故僕たちが…orz」
「降谷君、人間諦めが肝心だぞ。」
この二人が選ばれたのは他でもない件の少年、工藤新一に最も近い立ち位置にいたからだ。
当初、少年が指揮をとるなど、と懐疑的・反抗的な者が目立った。
だが1回目と同じ 否それよりも新一の実力を眼の当たりにした二人が真っ先に彼を推薦し心酔していた事が決定的になった。
何よりも彼の洞察力、コネクション、指示の的確さ、そして何より美しい心根が彼らの心を掴み、盛大なファンクラブが出来ているとか秘かに囁かれていたりする。
今では逆に新一の側にいる彼らが羨望と嫉妬の眼差しを浴びているくらいで、今回はそれ故に回ってきた”仕事”であった。
曰く”面倒な記者の相手 ( `・∀・´)ノヨロシク” である。
「…いつでも何処でも人を引っかけてくるな。」
「ええ。あれほどの実力の持ち主で人を惹きつける彼がまだ高校生なんて信じられませんよ。」
「全くだな。」
普段、無表情な赤井の眼元が柔らかい。それは降谷も同じだった。
『誰も死なせない 必ず皆で生きて帰る』
青い理想論でしかないのかもしれないその目標を掲げて本当に成し遂げてしまった彼。
潜入捜査で汚れてしまったこの手は、魂は、聞いた瞬間、綺麗ごとだと罵りたくなってしまった。
けれどあの何処までも澄んだ真摯な瞳に貫かれた時、「この少年なら、本当にやってのけるかもしれない。」とも期待してしまった。
厳しい現実を見過ぎて、色々なことを忘れ、目を瞑るようになってしまった日々の中で、どこか遠くに置いてきてしまった大事な何かが取り戻せるような気がした。
(それでいて汚い部分も見ている。)
現実を抱えながら、理想を灯に歩む。まだ17年しか生きていない彼がそれをしているのが降谷には奇跡のように思えた。
ジン・キャンティといった組織の幹部には何人か死なれてしまったけれど、味方は重傷者はいれども誰一人死なずに済んだ。
その為しえた時の喜びを忘れる事はないだろう。
(警察官を志した頃を思い出したな。)
(おまけに魅かれたのが組織の連中も だったな。ベルモット、アイリッシュ、キュラソーとまあ大物ばかり惹き付ける。)
この3人を味方に引き込んだのも彼が総指揮官と認められた一因の一つである。
ちなみにベルモットは極秘重要情報リークと協力的な行動が認められた上、彼女の知名度から公にした場合の影響力が大すぎるという事で監視付きとは言え、今もクリス・ビンヤードとしてハリウッド女優として活躍している。
アイリッシュとキュラソーは今はFBI 公安監視下の元だが、司法取引の結果、全くの別戸籍を与えられ暮らす予定になっている。
その寛大な処置には新一と彼の意を受けた二人もかなり尽力したのであった。
「しかし…組織関連以外か。何がいい?」
「あれどうでしょう。『揺れる警察庁1200万人の人質』」
降谷にとっては親友の荻原・松田の敵討ち的な事件でもあり、あの事件で新一への好感度が上がりまくったのは言うまでもない。
「良く爆発前に解読出来たものだと思ったな。」
「どうせ貴方の事だから、新一君に直接聞いているんでしょう。」
「まあな。」
(くっ!ドヤ顔の赤井イイ~!!殴りたい!! ちょっと出会うのが早くてちょっと一緒に住んでただけじゃないか!なのにさも新一君の理解者面しおって!!)
(新一君は日本国民だぞ!日本の未来ある有望な若者をFBIなんぞに捕られてたまるかああああ!!)
(また何やら一方的にファイト燃やしているな┐(´д`)┌ヤレヤレ)
視線だけで喧嘩出来る彼らは傍から見たら仲が良いんだよね と最愛の少年に評価されている事だと知る由もない。
多分知ったら二人とも無言で天を仰ぐか猛烈な反論をせずにいられないだろう( ´艸`) 世の中知らなくてもいい事もあるのだ。
二人で無言で喧嘩しながらも記者の前である為、余計な事は口にしない。其処は流石にプロである。
そして赤井の話は”揺れる警察庁1200万人の人質”の爆弾解除と大まかな暗号解読の話し終え、最後のギリギリだった暗号解きになっていった。
「よく最後のEVITで分かったな…母校だったからかな。運が良かった。」
彼の運の強さに思わず感嘆の溜息を付いた降谷である。
「確かに彼の”引き”の強さは保証するが、それだけじゃないぞ。」
「え?」
「彼はな…すぐに暗号を解いた後、近隣の学校全てをリストアップさせたんだ。
爆破予定時刻と犯人が車で行動したと仮定した上での爆破を確認できる場所になると踏んでな。
そして学校の行事 今いる人数を調べさせた。」
「?」咄嗟に意味が分からず首を傾げる記者である。
ちなみに彼らの会話を”偶然漏れ聞いた”という設定の為、質問は出来ない。
「ああ…犯人の性格上 警視庁への復讐という目的上 なるべく多くの人がいる処で仕掛けるだろうと推理しましたか。」
「!!」(そういう事!)
「正解だ。降谷君。で我らが名探偵はこの時点で既にかなり学校を絞っていた。」
「ふむ。」
「それでも流石東都内と言うべきか、この時点で候補は7~8校あったらしい。まあ運動会や文化祭やらの行事が多い秋でなかったのは幸いだったが。」
「ええ。」
「そこからが彼の凄いところでな。候補の学校の倉庫を警察に調べさせて、且つ暗号の特徴上、恐らくまた英語が来るだろうと踏んでありとあらゆるシミュレーションをしたらしい。」
「爆弾解除 暗号解読 犯人を欺く演技 同時進行して暗号予想する頭脳、確認出来るギリギリで爆弾コードをパンチで切る度胸 高性能なコンピューターの様ですね。・・・やっぱり公安に欲しい。」
「ふっ FBIこそ彼の舞台に素晴らしい。…”最高傑作”か。」
公安のエースとFBIきっての狙撃手の本音を覗かせた会話が続く。
「最高傑作?何の話です?」
「結構前だがな・・週刊推理という雑誌にな。工藤優作氏のインタビュー記事が載ってたんだよ。」
「へえ。新一君の御父君の?で?」
「其処に彼に今までの作品の中での最高傑作は何ですか?と質問したら、息子の工藤新一だと答えていたのさ。」
「おやおや。」
「それを読んだ時は流石の大作家も親馬鹿なんだなと呆れたんだが。」
「当たってますよね。」
「ああ。インタビュー記事には本で真相を明らかにする前に、自力で真実に辿りつく速さが半端ないらしい。」
「確かにやりそうって言うより確実ですよね。」
嬉々として謎解きをし、物語の探偵役より早く解いてしまう新一の姿が降谷の脳裏に浮かんだ。
(多分それだけじゃないがな…同じ雑誌内に載っていた”江戸川コナン”の話 日常描写が妙に懐かしい上に頭の回転や行動が何処となく彼を思わせる-。)
確証こそないが赤井は、同居した結果とパンドラの影響、勘の鋭さで十中八九江戸川コナンは工藤新一であると見抜いてた。
(だがまあ”証拠”はないし、敵に塩を送ることはない。何よりも本人が何も言ってないから、俺からわざわざ降谷君に言う事はなし、と。)
秘かにほくそ笑む赤井である。
「何余裕ぶっているんです?…貴方のそういうところ本当腹立ちますよ。」
最後は小声で赤井にしか聞こえない音量なのは流石というべきか。
「いいや。」(危ない危ないっと)
「これくらいでいいんじゃないか。…珈琲も飲み終えたし、出ようか。」
~2人が立ち去った後の隣の席にて~
「何て何て萌える話なの~WWW」
記者は懸命に取ったメモと事件の資料を見比べながら、記事をノリノリで作成していた。
「最近、工藤新一君の解決した事件、報道しないでくれって圧力掛かってばっかりだったから本当に残念だったのよね~。
晴れて報道出来る今回は書くわよ~腕がなるわヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪。」
”工藤優作氏 最高の傑作は愛息子の工藤新一君!”
”爆弾解除 暗号解読 犯人を欺く演技 確認出来るギリギリで爆弾コードをパンチで切る度胸 同時進行な高性能なコンピューターのような頭脳!”
”藤峰有希子譲りの美貌と演技力に推理の大家 優作氏の頭脳!”
”公安とFBIが取り合う逸材”
ネタ もといメモ帳にはこれから記事の見出しに出来そうな単語の羅列が並んでいたのであった。
「あああ、でも”公安とFBIが取り合う逸材”は例の件に絡むから書けないか~美味しいネタなのに残念無念。
いえ、数年の内に発表になるハズ。その時こそ、このフレーズ使ってやるわ~(´∀`*)ウフフ」
ファンとは時として組織より、警察より根性と執念があるのだ-。
そして月日が流れて、優作が”緋色の捜査官”を出版しヒットさせ、これは例の組織の話では囁かれ情報が予定より早く解禁された頃にはこの敏腕女性記者の元には数冊出来る程の資料が溜まっていたのであった。
マスコミ関係各社に一々回答するのが面倒になった新一本人からの出版依頼に狂喜乱舞しながら、編集作業する未来があったりするのだが、それはまた紙幅を尽くして別に語りたい話である。
ちなみに報酬は普通、印税の何パーセントとか部数から算出とか兎にも角にもお金であるのだが依頼あった時に彼女が必死の形相で言った「本人!!本人に会わせて下さい!!」と思わぬものであった。
面食らった新一だったが、結局「それでいいなら」と知り合いから貰ったというDINNER付 マジックショーをラスベガスで彼女と観たのであった。
ちなみにショーに一緒に居たのは、赤井夫妻、婚約者の宮野志保であり、此処でも特ダネの予感がした彼女のミーハーぶりと夢心地ぶりはごくごく限られた関係者の間では隠れた秘話である。
ちなみにこの『揺れる警察庁1200万人の人質』」報道がされた後、連鎖的に他の口止めしておいた日本国内での事件も幾つか報道されてしまった。
その中には服部とバッティングした例の外交官殺人事件や蜘蛛屋敷事件での事もあった為、「東の工藤、西の服部」は比べものにならずと新一への賞賛が集まることになる。
東都では致し方ない事とはいえ新一は目立たないという目標が外れ、結局赤井、宮野姉妹と共にアメリカに渡る事になり降谷が臍を噛むのは数カ月先のことであった-。
****************
後書
当初 番外編で予定していた工藤優作の最高傑作を本編に絡めてみました~(笑)
ひたすら新一君を誉める赤井さんと降谷さんのお話です。
新一愛され&至上主義な話の側で、皆様のお気にいりや気になるキャラのその後をチラリチラリと書いてあります。
ご賞味ください( ´艸`)
警視庁~のは私の補足推理です。
1回目であれだけ推理追い付いているので、2回目は更に追加させてみました。
今回の創作裏話です。
当初、敏腕記者は男性の予定でした。
某孫派に出てくるフリーの記者のように、ガッツ・執念もあるでも情もある感じで考えていたのですが、あら不思議??
これを書いた時に常連コメント下さる万里様、エルリア様、774様、RIOs様、紅玉様等が浮かび(特に工藤新一新聞を書かれた万里様が!) あらあ?(゚Д゚;)
気付いたら敏腕女性記者(ファンの一念は時に組織より警察より強いのよ)が出来上がってました(爆) (⌒▽⌒)アハハ!
不思議ですね~物語って生きてますね。
楽しんで頂けたら幸いです。
PS:コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
よって下記注意書きをお読みになられてから、ご覧下さい。
***注意書き***
本シリーズ作品はヒロインあまり出ませんが彼女には優しくありませんので、RANちゃんファン派はご遠慮願います。
後、服部君にも優しくありませんのでご注意願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
*************
注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
黒の組織は見事に壊滅した。
まだ残党が残っている事実と安全面上でも公安、FBI、CIA、インターポール等世界各国の警察組織の威信もあり、その総指揮官が10代の少年だなどと公表できるはずがない。
だが何処にでも目敏い人というものはいるもので、とある敏腕記者がその機密を入手してしまった。
残党の影響を説明し、情報規制を掛けたがせっかくの特ダネを報道出来ない記者は交換条件とばかりに代わりのスクープを求めてきたのであった。
そして白羽の矢が立ったのが、公安のエースこと降谷零とFBIきっての狙撃手 赤井秀一である。
組織殲滅作戦以外での工藤新一の活躍を彼らから語ってもらい、それを記事にするという事で、手を打ったのだ-。
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「何故僕たちが…orz」
「降谷君、人間諦めが肝心だぞ。」
この二人が選ばれたのは他でもない件の少年、工藤新一に最も近い立ち位置にいたからだ。
当初、少年が指揮をとるなど、と懐疑的・反抗的な者が目立った。
だが1回目と同じ 否それよりも新一の実力を眼の当たりにした二人が真っ先に彼を推薦し心酔していた事が決定的になった。
何よりも彼の洞察力、コネクション、指示の的確さ、そして何より美しい心根が彼らの心を掴み、盛大なファンクラブが出来ているとか秘かに囁かれていたりする。
今では逆に新一の側にいる彼らが羨望と嫉妬の眼差しを浴びているくらいで、今回はそれ故に回ってきた”仕事”であった。
曰く”面倒な記者の相手 ( `・∀・´)ノヨロシク” である。
「…いつでも何処でも人を引っかけてくるな。」
「ええ。あれほどの実力の持ち主で人を惹きつける彼がまだ高校生なんて信じられませんよ。」
「全くだな。」
普段、無表情な赤井の眼元が柔らかい。それは降谷も同じだった。
『誰も死なせない 必ず皆で生きて帰る』
青い理想論でしかないのかもしれないその目標を掲げて本当に成し遂げてしまった彼。
潜入捜査で汚れてしまったこの手は、魂は、聞いた瞬間、綺麗ごとだと罵りたくなってしまった。
けれどあの何処までも澄んだ真摯な瞳に貫かれた時、「この少年なら、本当にやってのけるかもしれない。」とも期待してしまった。
厳しい現実を見過ぎて、色々なことを忘れ、目を瞑るようになってしまった日々の中で、どこか遠くに置いてきてしまった大事な何かが取り戻せるような気がした。
(それでいて汚い部分も見ている。)
現実を抱えながら、理想を灯に歩む。まだ17年しか生きていない彼がそれをしているのが降谷には奇跡のように思えた。
ジン・キャンティといった組織の幹部には何人か死なれてしまったけれど、味方は重傷者はいれども誰一人死なずに済んだ。
その為しえた時の喜びを忘れる事はないだろう。
(警察官を志した頃を思い出したな。)
(おまけに魅かれたのが組織の連中も だったな。ベルモット、アイリッシュ、キュラソーとまあ大物ばかり惹き付ける。)
この3人を味方に引き込んだのも彼が総指揮官と認められた一因の一つである。
ちなみにベルモットは極秘重要情報リークと協力的な行動が認められた上、彼女の知名度から公にした場合の影響力が大すぎるという事で監視付きとは言え、今もクリス・ビンヤードとしてハリウッド女優として活躍している。
アイリッシュとキュラソーは今はFBI 公安監視下の元だが、司法取引の結果、全くの別戸籍を与えられ暮らす予定になっている。
その寛大な処置には新一と彼の意を受けた二人もかなり尽力したのであった。
「しかし…組織関連以外か。何がいい?」
「あれどうでしょう。『揺れる警察庁1200万人の人質』」
降谷にとっては親友の荻原・松田の敵討ち的な事件でもあり、あの事件で新一への好感度が上がりまくったのは言うまでもない。
「良く爆発前に解読出来たものだと思ったな。」
「どうせ貴方の事だから、新一君に直接聞いているんでしょう。」
「まあな。」
(くっ!ドヤ顔の赤井イイ~!!殴りたい!! ちょっと出会うのが早くてちょっと一緒に住んでただけじゃないか!なのにさも新一君の理解者面しおって!!)
(新一君は日本国民だぞ!日本の未来ある有望な若者をFBIなんぞに捕られてたまるかああああ!!)
(また何やら一方的にファイト燃やしているな┐(´д`)┌ヤレヤレ)
視線だけで喧嘩出来る彼らは傍から見たら仲が良いんだよね と最愛の少年に評価されている事だと知る由もない。
多分知ったら二人とも無言で天を仰ぐか猛烈な反論をせずにいられないだろう( ´艸`) 世の中知らなくてもいい事もあるのだ。
二人で無言で喧嘩しながらも記者の前である為、余計な事は口にしない。其処は流石にプロである。
そして赤井の話は”揺れる警察庁1200万人の人質”の爆弾解除と大まかな暗号解読の話し終え、最後のギリギリだった暗号解きになっていった。
「よく最後のEVITで分かったな…母校だったからかな。運が良かった。」
彼の運の強さに思わず感嘆の溜息を付いた降谷である。
「確かに彼の”引き”の強さは保証するが、それだけじゃないぞ。」
「え?」
「彼はな…すぐに暗号を解いた後、近隣の学校全てをリストアップさせたんだ。
爆破予定時刻と犯人が車で行動したと仮定した上での爆破を確認できる場所になると踏んでな。
そして学校の行事 今いる人数を調べさせた。」
「?」咄嗟に意味が分からず首を傾げる記者である。
ちなみに彼らの会話を”偶然漏れ聞いた”という設定の為、質問は出来ない。
「ああ…犯人の性格上 警視庁への復讐という目的上 なるべく多くの人がいる処で仕掛けるだろうと推理しましたか。」
「!!」(そういう事!)
「正解だ。降谷君。で我らが名探偵はこの時点で既にかなり学校を絞っていた。」
「ふむ。」
「それでも流石東都内と言うべきか、この時点で候補は7~8校あったらしい。まあ運動会や文化祭やらの行事が多い秋でなかったのは幸いだったが。」
「ええ。」
「そこからが彼の凄いところでな。候補の学校の倉庫を警察に調べさせて、且つ暗号の特徴上、恐らくまた英語が来るだろうと踏んでありとあらゆるシミュレーションをしたらしい。」
「爆弾解除 暗号解読 犯人を欺く演技 同時進行して暗号予想する頭脳、確認出来るギリギリで爆弾コードをパンチで切る度胸 高性能なコンピューターの様ですね。・・・やっぱり公安に欲しい。」
「ふっ FBIこそ彼の舞台に素晴らしい。…”最高傑作”か。」
公安のエースとFBIきっての狙撃手の本音を覗かせた会話が続く。
「最高傑作?何の話です?」
「結構前だがな・・週刊推理という雑誌にな。工藤優作氏のインタビュー記事が載ってたんだよ。」
「へえ。新一君の御父君の?で?」
「其処に彼に今までの作品の中での最高傑作は何ですか?と質問したら、息子の工藤新一だと答えていたのさ。」
「おやおや。」
「それを読んだ時は流石の大作家も親馬鹿なんだなと呆れたんだが。」
「当たってますよね。」
「ああ。インタビュー記事には本で真相を明らかにする前に、自力で真実に辿りつく速さが半端ないらしい。」
「確かにやりそうって言うより確実ですよね。」
嬉々として謎解きをし、物語の探偵役より早く解いてしまう新一の姿が降谷の脳裏に浮かんだ。
(多分それだけじゃないがな…同じ雑誌内に載っていた”江戸川コナン”の話 日常描写が妙に懐かしい上に頭の回転や行動が何処となく彼を思わせる-。)
確証こそないが赤井は、同居した結果とパンドラの影響、勘の鋭さで十中八九江戸川コナンは工藤新一であると見抜いてた。
(だがまあ”証拠”はないし、敵に塩を送ることはない。何よりも本人が何も言ってないから、俺からわざわざ降谷君に言う事はなし、と。)
秘かにほくそ笑む赤井である。
「何余裕ぶっているんです?…貴方のそういうところ本当腹立ちますよ。」
最後は小声で赤井にしか聞こえない音量なのは流石というべきか。
「いいや。」(危ない危ないっと)
「これくらいでいいんじゃないか。…珈琲も飲み終えたし、出ようか。」
~2人が立ち去った後の隣の席にて~
「何て何て萌える話なの~WWW」
記者は懸命に取ったメモと事件の資料を見比べながら、記事をノリノリで作成していた。
「最近、工藤新一君の解決した事件、報道しないでくれって圧力掛かってばっかりだったから本当に残念だったのよね~。
晴れて報道出来る今回は書くわよ~腕がなるわヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪。」
”工藤優作氏 最高の傑作は愛息子の工藤新一君!”
”爆弾解除 暗号解読 犯人を欺く演技 確認出来るギリギリで爆弾コードをパンチで切る度胸 同時進行な高性能なコンピューターのような頭脳!”
”藤峰有希子譲りの美貌と演技力に推理の大家 優作氏の頭脳!”
”公安とFBIが取り合う逸材”
ネタ もといメモ帳にはこれから記事の見出しに出来そうな単語の羅列が並んでいたのであった。
「あああ、でも”公安とFBIが取り合う逸材”は例の件に絡むから書けないか~美味しいネタなのに残念無念。
いえ、数年の内に発表になるハズ。その時こそ、このフレーズ使ってやるわ~(´∀`*)ウフフ」
ファンとは時として組織より、警察より根性と執念があるのだ-。
そして月日が流れて、優作が”緋色の捜査官”を出版しヒットさせ、これは例の組織の話では囁かれ情報が予定より早く解禁された頃にはこの敏腕女性記者の元には数冊出来る程の資料が溜まっていたのであった。
マスコミ関係各社に一々回答するのが面倒になった新一本人からの出版依頼に狂喜乱舞しながら、編集作業する未来があったりするのだが、それはまた紙幅を尽くして別に語りたい話である。
ちなみに報酬は普通、印税の何パーセントとか部数から算出とか兎にも角にもお金であるのだが依頼あった時に彼女が必死の形相で言った「本人!!本人に会わせて下さい!!」と思わぬものであった。
面食らった新一だったが、結局「それでいいなら」と知り合いから貰ったというDINNER付 マジックショーをラスベガスで彼女と観たのであった。
ちなみにショーに一緒に居たのは、赤井夫妻、婚約者の宮野志保であり、此処でも特ダネの予感がした彼女のミーハーぶりと夢心地ぶりはごくごく限られた関係者の間では隠れた秘話である。
ちなみにこの『揺れる警察庁1200万人の人質』」報道がされた後、連鎖的に他の口止めしておいた日本国内での事件も幾つか報道されてしまった。
その中には服部とバッティングした例の外交官殺人事件や蜘蛛屋敷事件での事もあった為、「東の工藤、西の服部」は比べものにならずと新一への賞賛が集まることになる。
東都では致し方ない事とはいえ新一は目立たないという目標が外れ、結局赤井、宮野姉妹と共にアメリカに渡る事になり降谷が臍を噛むのは数カ月先のことであった-。
****************
後書
当初 番外編で予定していた工藤優作の最高傑作を本編に絡めてみました~(笑)
ひたすら新一君を誉める赤井さんと降谷さんのお話です。
新一愛され&至上主義な話の側で、皆様のお気にいりや気になるキャラのその後をチラリチラリと書いてあります。
ご賞味ください( ´艸`)
警視庁~のは私の補足推理です。
1回目であれだけ推理追い付いているので、2回目は更に追加させてみました。
今回の創作裏話です。
当初、敏腕記者は男性の予定でした。
某孫派に出てくるフリーの記者のように、ガッツ・執念もあるでも情もある感じで考えていたのですが、あら不思議??
これを書いた時に常連コメント下さる万里様、エルリア様、774様、RIOs様、紅玉様等が浮かび(特に工藤新一新聞を書かれた万里様が!) あらあ?(゚Д゚;)
気付いたら敏腕女性記者(ファンの一念は時に組織より警察より強いのよ)が出来上がってました(爆) (⌒▽⌒)アハハ!
不思議ですね~物語って生きてますね。
楽しんで頂けたら幸いです。
PS:コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
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