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太陽の女神 月の巫女姫⑨~雷光~


「…何を差し出せる?」
「え?」
「願いには対価が要るの…。それに見合う、ね。」
その瞬間、大伯は照の眼差しに雷光を観た気がした。
決して揺るがない、世の理(ことわり)を説く神の姿-。
「な…に…でしたら、いいのでしょうか。」
彼女は思わず敬う口調になっていた。
(霊力、髪くらいしか思いつかない…!身分は…多分意味を為さない!)
そんな巫女姫の思考を読んだかのように、天照大御神から言葉が紡がれた。
「それでいいわ。」
咄嗟に反応して髪を切る道具を探そうとするが見当たらずに焦る。
「一人じゃ綺麗に出来ないでしょ。後で側付きの者にやって貰いなさいな。」
「でもっ早くしないと…!」
「大丈夫よ。私達の仲じゃない。”後払い”でもいいわ。」
そうして目を閉じ、何処かに意識を飛ばしている照を見守るも哀しそうな顔をして此方を見てくる姿に嫌な予感が募る。
「拒否されたわ…。」
「拒否!?」
「その対価だと出来る事は限られる。”大津皇子”のままでは死が待つのみ。だから彼に”名”を捨てさせて生き永らえさせようとしたの。」
「ああ、そうなるのね。」得心した。
「でも拒否って…?」
「そのままの意味よ。これは名を捨て身分を捨てるという事だからその対象が”諾”してくれないと成り立たないの。」
確かに幾ら策や術を弄しても、本人が名乗ってしまったら終わりである。
「そんな…!」
(失敗した。大津が此処に居た昨夜願い、そして私自身が大津を説得するべきだった…!)
「今から追い掛ければ!」
「無理よ。相当な強行軍で移動している。…それに斎王が無断で宮を出たら益々事態は悪化するのではなくて?」
「っッ!!」
”父が天皇、母が皇女、姉が斎王、それが私の誇り。それを奪おうというのか”照が聞かせてくれているのか、大伯の頭に直接、弟の声が響く。
「照…。」
「ええ、これが貴方の弟君の言い分よ。名を取るか、実を取るか どちらが大切なのかは人によって違うのでしょうけれど。」
どちらも大事。けれど けれども。
(死んでしまったらおしまいなのよ!大津!!!!!!!!!!!!!!!!!)
脳裏に小さい頃亡くなった、母の姿が過る-。
例え公に会えずとも、ひっそりとでも生きてくれた方が身内にはどれだけ嬉しいか-。
照の力を借り、直接大津へ語りかけるもついに弟は頷かず、数日が過ぎた。
だがその数日が命取りになった。

「…大伯、もう繋げないわ。」
「え?どうしてっ!?照!」
「…もう息をしていない…。」
「…え??」
嘘よと言いつつ、照がそのような偽りを言うはずがない事も分かっている為、彼女は混乱の極致であった。
否、ただ現実を受け止めたくなかった。頭を振り、必死で抗っていたとも言える。
その瞬間、凄まじい雷光が大空を覆った。
(本当、なのね。)
ついで、ふらりと彼女の身体は傾いで倒れたのであった。
皇后は、伯母は電光石火の如く、甥を葬り去ったのであった。

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後書 今回”雷光”で女神たる照姫の神々しさや畏怖
後に持統天皇となる皇后の素早い政治的判断を表現してみました。
いよいよクライマックスに近づいてきましたヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪

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30代OLが歴史・節約・日頃・二次小説のことを書き綴っています。 コメント大歓迎★ ですが、宣伝や本文に何も関係ないもの もしくは激しく不愉快、コピペ等、そういった類は、私の判断により 誠に勝手ながら削除の方向です。楽しく語りたいです♪ 二次創作小説もありますが、このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。

雪月花桜

Author:雪月花桜
タイトル通り歴史大好きな女がブログしてます。
歴史を元にした小説なんかも大好きでそれらについても語ったり、短編なんか書いてみたいです。
現在それ以外でも二次小説をupしておりますし、OLなりの節約・日々の徒然を語っています。

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