出会いなおし 前編~園子編~
夢の絆シリーズ(コナン小説で逆行物 新志小説)の番外となります。時系列的には、瑪瑙石の輝き のずっと後です。
夢の絆 本編 番外編をすべてお読みになってからの方がより理解が深まると存じます。
下記注意書きをお読みになられてから、ご覧下さい。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロイン派 新蘭派はご遠慮願います。
後、本作品に出てきませんが、服部君にも優しくありませんのでご注意願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
それは懐かしい旧友の顔-。
「園子…。」
28年ぶりのかつての”親友”との再会であった。
今までの不安が緩むと同時に感情が噴き出す。一気に涙が頬を落ちた。
「蘭っ!?」
慌てたような困ったような心配そうな顔-。
昔より華やかになっているけれど、纏う雰囲気が上に立つ人のそれになっているけれど それでも-。
(ああ変わっていない。懐かしい。)
そんな顔させたんじゃない。でも涙が止まらない。言葉が出てこない-。
「久しぶり」「何してる?」そんな挨拶すら出てこず、言うべき言葉さえ吹き飛んだ。
30年近くの交流のなさを飛び越え、二人の心は一気に出会った頃に戻っていた。
”「私 すずきそのこって言うの。よろしくね。」”
”「わたしは、もうりらん!」”
大人になった二人-どちらともなくぎこちなく微笑む。
長い時を経た二人の”出会いなおし”であった。
その日から月に2・3回、二人は自然に会うようになった。
毎日お見舞いに行く蘭と比べ、園子は週に1回くらい特別個室にいる身内へとお見舞いに来ていたからだ。
その身内が誰かは教えて貰えなかったが、蘭は既に言いたくことは聞かないという術を心得ていてから問題なかった。
すでに財閥の実権は園子に移っており、蘭も問題行動を起こしていないからこそ出来たことであった。
園子は数年前、父親を癌で亡くしたこともあり、小五郎の容態を聞くと「その癌なら完治出来る可能性あるわよ。」
「放射線治療で味覚が変わるから、できるだけ湧き水とか無農薬とか美味しいもの持っててあげた方がいいわ。」等具体的なアドバイスをくれて、有難く心強い。
他愛ないことを話すだけでも不安が和らぎ、蘭にとってその一時はかけがえののないものであった。
「最近ね。お父さん、家に帰りたい 帰りたいって言うの。」
「あ-あのビルのことよね。事務所のあった。」
「うん。でも買い戻すお金ないよね。…私のせいで。」
深い悔恨に俯く蘭。すでにダイジェスト版とはいえ、ホステス時代の話はもうしてある。
「蘭…。」
「ただちょっと変なの。あと2年 あと2年で帰れるって、こっそり呟いてて…。もう売っちゃったのに。」
「確かになんだかおかしいわね??」
「それとね もう一つ変なんだ。病院からの書類を棚のファイルに入れようとしたら…なんか確定申告みたいなの出てきて…。
会社で申告しているはずなのに…何でだろう?」
小五郎は1年前、定年退職してからも嘱託として働いていた。
「医療費が一定額以上とか寄付したとかじゃないの?」
「うーん。なんかそういうのじゃないみたいなのよね。だって病院行ってない去年の分で納付書が同封されているんだよ。」
「納付書ってことは税金を納めているってことよね。ってことは給料以外に収入があるってことじゃないかしら?」
「えええ!?でもそんなの聞いたことないよ!?」
「話してないだけかもしれないわよ。だってあの探偵事務所のビルだっておじさまのお父様から譲ってもらったものでしょ!?
他の親族から土地とか建物とか遺産相続してそこから収入があるのかも。」
「あ、そっか。」
「まあ何にせよ、それはおじさまの財産であって蘭のじゃないから。病気の今は問い詰めない方がいいと思う。
ただ厳しいことを言うようだけど、いよいよ危ないってなったら後で判明するより先に教えておいてもらった方が助かるけどね。
タイミングが難しいよね。
うちなんか、後で出るわ出るわ パパの遺産相続めちゃ大変だったんだから。
税理士に教えてない口座とか本当やめてって思った。 入出金履歴見るとパパ本人も忘れてた口座みたいだから仕方ないけど。」
金持ちには金持ちの苦労があるらしい。
「そっか。書類みて、こっそり把握だけしとこうかな。」
「それもアリかもね。」
軽い気持ちで実行したこの事に蘭は驚愕することになる。
一ヵ月後、病院内のカフェでランチ後のドリンクを飲みながら、蘭と園子は話していた。
「え?それじゃ今でもポアロから入金があるの?」
「う、うん。それに固定資産税の支払い…住所が前住んでたとこなの…。」
信じられないと顔に書いて話す蘭 思案気な園子。
「じゃあ、あのビルは未だにおじさまの物なのね…。」
「そんな…でも…どうして。」
何故自分には売ったと言ったのか-。あの場所があればホステス時代どれだけ助かったことか-。
(ううん。それよりも住み慣れたあの場所で暮らせていたら、精神的にどれだけ安心したことだろう。)
自分のせいでビルを売ったかもしれないと父に申し訳なささえ感じていたのにと蘭は裏切られた気分でいっぱいだった。
(蘭…。相変わらず感情がすぐ顔に出るわね。言葉にしないだけ大人になったと思うべきかしら。でも丸分かり。
おじさまが蘭を裏切ることはないと思うわよ。)
癖のある経済界の重鎮を前に内心どれだけ逃げ出したくとも、自信たっぷりに笑ってみせて乗り越えてきた園子は顔の表情だけで思いを読み取っていた。
おじさまにも、きっと何か事情が とふと思考を巡らせた際に浮かんだのははるか昔に思える新一との会話。
”「だがな。それを聞いてもどうかしようとは思えなかった。
園子の言う通り、毛利の確保は水面下で動く俺についてきて組織に眼をつけられないようにする為の保護の側面もあったからだ。」”
”「ああ。だが事件の時の無謀な行動が原因でFBI 公安共に毛利の存在はもう問題視されていた。
FBIでは敵視している人らもいた。」”
”「それゆえの措置だ。監視兼保護 余計な事をこれ以上させないようにする、牽制。」”
(公安…!!きっとそれね。米軍だがFBIだか とにかくアメリカの意を受けた公安が動いたんだわ。
新一君の傍に蘭が行かないように。)
詳しい事情は分からないが園子は事の本質を見抜いた。
「蘭。黙っているイコールがいけないことじゃないわ。言わないことが守ることだってあるじゃない。組織戦の前に私達級友を遠ざけた昔の新一君みたいに。」
この推理を話していいのか判断がつかず、咄嗟に分かりやすい例えを出しながら、必要なことだけを言う。
「そ、そうだげど…。」拗ねたようにマドラーを掛けまわす蘭。
だが声の調子がちょっと上向いたことに園子はほっとした。
彼女だっておそらく父を信じたいのだ。その可能性を示されて嬉しかったのだろう。
(でも…これは多分…新一君に聞かないと分からないわね。下手すると彼も知らされてないかも。蘭の処遇に関しては後で知ったって感じだったし。)
だがいずれにしても公安に伝手などない園子からしたら彼に聞く以外に手はない。
(新一君に会いに行こう。…蘭には言わずに。)
どんな真実が待っているのだろう。
そしてそれは彼女に話してもいい内容なのだろうか-。
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後書
読んで頂きありがとうございます!
2019年12月にスタートしたこちらのお話なんと続編は2020年5月…なんと5か月ぶりです(;'∀')
夢の絆 番外編 最後の大ネタのこの話…見切り発車したら書けるかな?と思いましたが見切り発車し過ぎはよくないですね💦
今回は園子と28年ぶりの再会です。
再会の一瞬で昔のような雰囲気になった二人。でも話す内容や性格はそれなりに世間の荒波に揉まれているので変わっています。
特に園子は経済界を生き抜いたので、かなりそういうスキルが上がってます。
いよいよ蘭と園子が真実に近づいてきますが…どうなるでしょうね( ̄ー ̄)ニヤリ
次回は新一編です☆
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
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