そうして幸せに暮らしました~前編~
原作の告白放置のまま時が過ぎたら・・・という感じです。
単独でもお楽しみ頂けますが、『茨姫は棘だらけの寝台で』『異次元イルミネーション』『自らの蔦と棘で絡め取られて』『呪いが解けたその時には』『おとぎ話のその後とは』『裸足で歩み続ける茨道』を読んでからの方がより理解しやすいと存じます。
作品は、カテゴリ欄のコナン二次小説 ”原作 その後”にございます。
この記事の右上の”原作 その後”をクリックしても飛べます。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃん 毛利一家に優しくありませんので、ヒロインファンはご遠慮願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
*************
注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
悪人を懲らしめ、王子と姫が結ばれて終わる”そうしていつまでも彼らは幸せに暮らしました”で終わる物語が好きだった。
子供だった私は、その一文に込められた日々の積み重ねに想いを馳せる事もなく-。
***************************************
散る桜の花びらの下で絶望したあの日から蘭は必死に日々を立て直していた。
記憶を頼りに英理の職場を尋ねた蘭は其処で自分の罪を知った。
母の退職理由が自分の過去だったからだ。
塾講師をしていた英理は、口煩い事で有名な生徒の母親に眼をつけられ、娘の過去の悪行を元に「娘一人躾けられない女に息子を教えて欲しくない!」と追い込まれ退職していた事を待合室にいた母親同士の噂話で知った。
名乗る事が出来ず、かといって手掛かりを諦める事も出来なくて呆然と立っていた受付越しに妃英理宛の書類の封筒を見つけ、咄嗟に町名とアパート名だけを頭に叩き込み、足早に立ち去った。
ネットのお蔭で、町名とアパート名で何とか探し当てたアパートには、記憶より年齢を重ねた どこか精彩を欠いた母がいた。
「蘭。おかえりなさい。」
「おかあさん…!わああああん。」
想像していたより優しい母の声音に、言葉に、年甲斐もなく大泣きしてしまった。
住所を得てからは何とか接客業の職を見つけ、必死で働いた。
(あそこの旅館で叩き込まれた行儀作法がこんなに重宝がられるなんて。頑張って良かった。)
最初始めたボランティア活動はホームレスのおじさん達の恩義があった為かホームレスの炊き出しだった。
其処は温かくとても心地良かった。
”贖罪ですが、本人に会えなくても出来ることはありますよ。
でも妃さん貴女何もやっていませんよね?”
だがかつての恋人の指摘が脳裏を過る。
考える力を付ける為に母からの薦めで受けた優花の個人カウンセリングでは過去と向き合う為、DV被害者を保護する活動にも参加してみてはと言われた。
皮肉なことに空手の経験がいざという時の自衛に役に立つと採用になった。
それ以外は主に被害者の声を聴くのが仕事。
「ひ、ひどいんです。何かちょっとでも言い返すと殴る蹴るで…!」
「だんだん考えることすら億劫になって…今思うと奴隷みたいでした。私、馬鹿みたい…!」
(被害者の話を聞いてなんて酷いんだろうって思った。でもそれと同じ事を私は新一にしてたんだ。)
新一の反射神経が鋭く、ただ実害にならなかっただけ。
その事実は思ったより蘭を打ちのめした。
(本当に分かってなかった。)
「良い傾向ですよ。蘭さん。」
「え?」
自己嫌悪で落ち込む彼女に優花は「自分が分かっていなかった と無知だったと知る事で新しい一歩が踏み出せます。」と微笑んだ。
「そう…なのでしょうか?」
「はい。活動はそのまま続けて下さい。後、日記をつけましょう。」
「日記、ですか?」
「はい。認知療法の一環です。」
「認知療法…。」
「日記にその日にあった①良いこと、②よくないこと、③改善に向けてやることを書き込むんです。
とりあえず始めてみましょう。最初は完璧にやろうとしなくていいですよ。」
「は、はい。」
「それで月1回は必ず読み直して考える時間をつくりましょう。」
「考える時間…。」
「人間は習慣の生き物ですから。大丈夫。習慣化したら、蘭さんのが苦手だと仰る”考える”も出来るようになります。」
「せっかくですから、可愛いお気に入りのノートに書くといいですよ。テンション上がりますから。」
「カウンセリングはこれで終わりですから、今日帰りに雑貨屋一緒に寄ってみます?」
「は、はい。ありがとうございます!是非一緒に。」
「あ、これ今回のお代です。」
「はい。確かに受け取りました。ありがとうございます。」
カウンセリング後、優花と一緒にランチして雑貨屋によってノートを選ぶ時間は久しぶりの女性らしい時間でとても幸せだった。
(何気ない日々ってありがたいものなんだぁ。)
周りを彩る緑と赤、リズムよく響くクリスマスソング、ツリーの煌めき。
大勢の人々が賑やかに行き来する、大通り。
それだけで不思議と気分が高揚する。
(元旦から日記書き始めようっとまずはお金貯めてお父さんの行方を探そう。どうしても無理そうなら探偵に頼もう。)
(あと新一に謝りに行くなら最低500万用意ってお母さんに言われてたっけ…。お父さんとお母さんが払ってくれた慰謝料分。
今年の抱負は”貯金”かな。節約、節約。)
でもせっかくクリスマスだし、ケーキくらいと思い、混むスイーツ店を覗き込む。
自分用の苺のショートケーキと母の好きなお酒入りのチョコレートケーキを買って帰る蘭の足は軽く弾んでいた。

************************************
後書
Merry Christmas☆彡
夢の絆 番外編「出会いなおし」が進まず、(おい)こちらを先に執筆と相成りました。
小五郎の行方、園子との再会等書きたいネタはあるものの何処まで書けるものか…。
優花さんの導きで立ち直っていく蘭ちゃんを見守って頂けたら幸いです。
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
単独でもお楽しみ頂けますが、『茨姫は棘だらけの寝台で』『異次元イルミネーション』『自らの蔦と棘で絡め取られて』『呪いが解けたその時には』『おとぎ話のその後とは』『裸足で歩み続ける茨道』を読んでからの方がより理解しやすいと存じます。
作品は、カテゴリ欄のコナン二次小説 ”原作 その後”にございます。
この記事の右上の”原作 その後”をクリックしても飛べます。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃん 毛利一家に優しくありませんので、ヒロインファンはご遠慮願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
悪人を懲らしめ、王子と姫が結ばれて終わる”そうしていつまでも彼らは幸せに暮らしました”で終わる物語が好きだった。
子供だった私は、その一文に込められた日々の積み重ねに想いを馳せる事もなく-。
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散る桜の花びらの下で絶望したあの日から蘭は必死に日々を立て直していた。
記憶を頼りに英理の職場を尋ねた蘭は其処で自分の罪を知った。
母の退職理由が自分の過去だったからだ。
塾講師をしていた英理は、口煩い事で有名な生徒の母親に眼をつけられ、娘の過去の悪行を元に「娘一人躾けられない女に息子を教えて欲しくない!」と追い込まれ退職していた事を待合室にいた母親同士の噂話で知った。
名乗る事が出来ず、かといって手掛かりを諦める事も出来なくて呆然と立っていた受付越しに妃英理宛の書類の封筒を見つけ、咄嗟に町名とアパート名だけを頭に叩き込み、足早に立ち去った。
ネットのお蔭で、町名とアパート名で何とか探し当てたアパートには、記憶より年齢を重ねた どこか精彩を欠いた母がいた。
「蘭。おかえりなさい。」
「おかあさん…!わああああん。」
想像していたより優しい母の声音に、言葉に、年甲斐もなく大泣きしてしまった。
住所を得てからは何とか接客業の職を見つけ、必死で働いた。
(あそこの旅館で叩き込まれた行儀作法がこんなに重宝がられるなんて。頑張って良かった。)
最初始めたボランティア活動はホームレスのおじさん達の恩義があった為かホームレスの炊き出しだった。
其処は温かくとても心地良かった。
”贖罪ですが、本人に会えなくても出来ることはありますよ。
でも妃さん貴女何もやっていませんよね?”
だがかつての恋人の指摘が脳裏を過る。
考える力を付ける為に母からの薦めで受けた優花の個人カウンセリングでは過去と向き合う為、DV被害者を保護する活動にも参加してみてはと言われた。
皮肉なことに空手の経験がいざという時の自衛に役に立つと採用になった。
それ以外は主に被害者の声を聴くのが仕事。
「ひ、ひどいんです。何かちょっとでも言い返すと殴る蹴るで…!」
「だんだん考えることすら億劫になって…今思うと奴隷みたいでした。私、馬鹿みたい…!」
(被害者の話を聞いてなんて酷いんだろうって思った。でもそれと同じ事を私は新一にしてたんだ。)
新一の反射神経が鋭く、ただ実害にならなかっただけ。
その事実は思ったより蘭を打ちのめした。
(本当に分かってなかった。)
「良い傾向ですよ。蘭さん。」
「え?」
自己嫌悪で落ち込む彼女に優花は「自分が分かっていなかった と無知だったと知る事で新しい一歩が踏み出せます。」と微笑んだ。
「そう…なのでしょうか?」
「はい。活動はそのまま続けて下さい。後、日記をつけましょう。」
「日記、ですか?」
「はい。認知療法の一環です。」
「認知療法…。」
「日記にその日にあった①良いこと、②よくないこと、③改善に向けてやることを書き込むんです。
とりあえず始めてみましょう。最初は完璧にやろうとしなくていいですよ。」
「は、はい。」
「それで月1回は必ず読み直して考える時間をつくりましょう。」
「考える時間…。」
「人間は習慣の生き物ですから。大丈夫。習慣化したら、蘭さんのが苦手だと仰る”考える”も出来るようになります。」
「せっかくですから、可愛いお気に入りのノートに書くといいですよ。テンション上がりますから。」
「カウンセリングはこれで終わりですから、今日帰りに雑貨屋一緒に寄ってみます?」
「は、はい。ありがとうございます!是非一緒に。」
「あ、これ今回のお代です。」
「はい。確かに受け取りました。ありがとうございます。」
カウンセリング後、優花と一緒にランチして雑貨屋によってノートを選ぶ時間は久しぶりの女性らしい時間でとても幸せだった。
(何気ない日々ってありがたいものなんだぁ。)
周りを彩る緑と赤、リズムよく響くクリスマスソング、ツリーの煌めき。
大勢の人々が賑やかに行き来する、大通り。
それだけで不思議と気分が高揚する。
(元旦から日記書き始めようっとまずはお金貯めてお父さんの行方を探そう。どうしても無理そうなら探偵に頼もう。)
(あと新一に謝りに行くなら最低500万用意ってお母さんに言われてたっけ…。お父さんとお母さんが払ってくれた慰謝料分。
今年の抱負は”貯金”かな。節約、節約。)
でもせっかくクリスマスだし、ケーキくらいと思い、混むスイーツ店を覗き込む。
自分用の苺のショートケーキと母の好きなお酒入りのチョコレートケーキを買って帰る蘭の足は軽く弾んでいた。

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後書
Merry Christmas☆彡
夢の絆 番外編「出会いなおし」が進まず、(おい)こちらを先に執筆と相成りました。
小五郎の行方、園子との再会等書きたいネタはあるものの何処まで書けるものか…。
優花さんの導きで立ち直っていく蘭ちゃんを見守って頂けたら幸いです。
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
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