チョコレートの行き先
原作の告白放置のまま時が過ぎたら・・・という感じです。
時系列は、『茨姫は棘だらけの寝台で』『異次元イルミネーション』の後ですので、2作品読んでからの方がより理解しやすいと存じます。
二作品は、カテゴリ欄のコナン二次小説 ”原作 その後”にございます。
この記事の右上の”原作 その後”をクリックしても飛べます。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロインファンはご遠慮願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
勉強したら?
私はそう言いたくなるのを堪えて、部屋の入口から窓の外に視線をやった。
教室の入り口ではさも渡したいんです、と言わんばかりの表情で箱を持っている同級生がいて、関わりたくないからだ。
(毛利さん、自分の立場分かっているのかな?噂だと本命も滑り止めもこれからだって聞いたけど。)
なのに工藤君がいるこの特進クラスに突進しては冷たくあしらわれ悄然としたり、彼女でラブラブな宮野さんとの二人の世界に勝手に撃沈して去って行ったりと中々忙しい子である。
(そろそろ現実見た方がいいと思う。)
彼女のクラスは文系で下から数えて2番目、親友の鈴木さんは文系で上から2番目。
工藤君、彼女さんの宮野さんは私と同じ理系の特進クラス。
高校3年生になり、受験に備え、成績順に見事に分かれた3人である。
(あのクラスだと滑り止めさえ危なさそうだし。今日バレンタインだからって浮かれている場合じゃないでしょう。)
それが出来るのは工藤君みたいに東都でも余裕な天才か、私のように一足早く安全圏な学校で推薦貰えた人、くらいではないだろうか。
(いや浮かれているっていうより必死 かな。今更そんなに必死になるなら、告白されたとき、きちんと返事すればいいのに。)
そんな中、目を潤ませて入口で佇む毛利蘭の姿は何だかとても場違いだった。
(例えるなら、風景画の中にいきなりパステルカラーが入ったような…違和感。)
休憩時間中、おそらく工藤君を探す視線を向けてきた彼女だが、彼がいないと分かると肩を落として去って行った。
予鈴が鳴る。
この時期のほとんどの授業は自習。
最初こそ先生がいたが、いなくなった途端、既に進路が決まっている女子高校生3人が自然と集まり、それは始まった。
「ウザイ。」
「また来たし。」
「何なのあれ。」
「今日バレンタインだからでしょ。」
「「それは分かってるけどさ。」」
「工藤君に振られてるのに。」
厳密に言うと、工藤君の告白に無視という形で振ったのは毛利さんだが、ここ最近の相手にされてない付き纏いぶりから、振られ女の体を醸し出しているのは圧倒的に彼女である。
「振ったのに彼女出来たら惜しくなったとか最低っ!!」
「杏子、声押さえてっ!これから受験の子もいるんだからさ。」
「あ、さっちゃん。ごめんごめん。」
皆して囁き声に戻す。
「惜しくなったっていうより、高を括ってたんじゃない!?
工藤君が自分以外に靡くわけないから、いくら待たせても平気よ、みたいな。」
「うわあ 嫌な女度がアップしたわ。」
「でもありそう。鋭いね さっちゃん。」
「さて、受験生らしからぬ誰かさんの話題は置いといて~友チョコ交換しよう♪」
私は話題転換を試みた。
「しようしよう。」
「うわあ杏子のこれ凝っている~。」
「ふふふ。昨夜徹夜して作ったし!」
「何やってんの。せっかく受験終わったんだから寝なよ。」
「いや解放されたからこそ、こうやったる みたいな妙なテンションが…!」
「あはは。」
「私のはオレンジリキュール入り(⋈◍>◡<◍)。✧♡」
「おお!大人だ!ごめん 私が一番平凡かも…。」
「美味しそうだよ。定番って強いしね。」
誉めたら誉め返す これ女子の常識。
(毛利さんはそういうの丸無視だよね。鈴木さんなんか、比較対象として体よく利用されているように見えたし。
まあ当事者が気にしないならいいけど、気付いてないだけかもね…。)
彼女に肩入れし過ぎて、工藤君を好きな他の女子の気持ちを蔑ろにした鈴木さんは、最初好きではなかった。
暴走する彼女を必死に宥めていたのさえ、自業自得と思えたものだが、それが半年以上も続くと流石に同情の気持ちが沸いた。
(煽るだけ煽ってさっさと離れた元クラスメイトよか、責任感ある子だよね。)
その園子でさえ受験を眼の前にして既に半分蘭を見捨てていた。
(正直、鈴木さん自分の受験で手一杯よね。お家がお家だから、有名私大の経営関連の学科狙ってるらしいし。)
そしていつの間にかチョコ談義からさっきの話に戻っていた。
「にしてもあのいかにも手作りです ってチョコ 箱の様子からして、多分ケーキでホールサイズだよね。」
「本当 渡せなかったら自分一人で食べるのかな。」
「練習用とかあったらホールケーキ2・3個一人で食べるとかww」
「「きっつ(笑)-」」
「ねえねえそれよりも宮野さんが工藤君に贈ったチョコレート知りたくない?」
私は再び話題転換を試みた。
(どうせなら幸せなカップルの話題にあやかりたい。)
「え?何でさっちゃん知ってるの?」
「ふふふ、オレンジリキュール買いに行った時、デート中の二人に会ったのだ。」
「「何それいいな。」」
「ラム酒とシェリー酒買ってた。チョコレートに入れるんだって。」
「「へ~。」」
「あ、でねここからが本題なんだけど…二人とも5/4予定ある?GWだから家族と旅行とか…。」
「へ?ないけど」
「私もない。」
「あのね三重でイルミネーションで有名な花園あるじゃない?」
「うん。知ってる。有名だし。」
「テレビで紹介されて、いつか行ってみたいって思ってたとこだ!」
「其処でね二人が挙式するんだって、新婦友人枠で出席してくれないかって」
3人は特進クラスの中でも成績優秀で志保に勉強を教えて貰ったのをきっかけにそこそこ仲が良い。
「「何それ!!」」
話を遮る二人。ちょっと待って説明するから。*読者の方は『異次元イルミネーション』を参照願います*
「ええクリスマスにプロポーズした場所で挙式とかロマンティックwww」
「女子の憧れ!!」
「「そんなの出席するに決まっているじゃん!」」
「むしろ用事を蹴倒すわw」
「スケジュール帳に書いとかなきゃ バイト入れないように。」
「此処で嬉しいお知らせ。例のイルミネーション5/6までやってるんだよ。」
「「やったー!!ついでに見れる!」」
「流石に無理かと思ってた。冬季イルミネーションって2月3月くらいまでが多いし。」
「あそこ評判になってからイルミネーション期間伸びたのよ。」
「なるほどね。」
「ねえ、私結婚式とか初めてなんだけど…衣装とかご祝儀とかどうしたら…!」
「私も。」
「今週の土日にでも街に行く?レンタルって手段もあるし、親御さんに買って貰うにしても、大体の値段とか下見とかしといた方がよくない?」
「流石 さっちゃん賢い!」
「行く行く。」
盛り上がりながらも声量は控えめという器用なことをしていた彼女たちは、挙式で案内係を担当した彼女と同じく美男美女に感動することになる。*挙式の様子を知りたい方は『自らの蔦と棘で絡め取られて』を参照願います*
東都 某事務所。チョコレートケーキの山に挑む親子二人がいた。
「うッ。胸焼けしそうだぜ。」
「お父さん。もうちょっと頑張ってよ。もぐもぐ。」
「俺は言ったよな?こんなに作ってどうするんだって。しかもこんなに甘ったるい匂いばっかり。もういやだ。」
新一の愛情を失った蘭は思考がボーっとしがちで失敗作を量産していたのだった。
「自分で責任取って食えよな。俺出かけてくる。」
「あ、もうッ!!逃げた~。なんでこうなるのよ。結局新一には渡せなかったしィィィィ(´;ω;`)ウゥゥ」
後に残されたのは大量の生焼けのチョコレートケーキと蘭一人-。
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後書 ちょっと早いバレンタイン小説です。
原作その後シリーズ 番外編というか過去編といいますか。
甘い話のはずが…蘭ちゃん限定辛口な小説です あれ-??(・・?
『そうして幸せに暮らしました 後編』が書けず苦戦していたら、何故か浮かんできました('◇')ゞ
書き上げて気付いたのですが、蘭ちゃんより別人視点の方が筆進みます…後編は英理さん視点にしてみようかな(゜レ゜)
本作品は注意書きにもある通り、『茨姫は棘だらけの寝台で』『異次元イルミネーション』の後の高校3年生のバレンタイン小説になります。
よって新志は婚約者同士で一番甘い時期です(´∀`*)ウフフ
あ、この点はバレンタインらしいかも。でも出演してない。…どなたか書いて下さいませんか!(おい 作者)
本日木曜日ですが、朝から「今日金曜日じゃないの?」と思ってます。木曜あるあるですね(笑)
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
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