20代前半・充実したぬるま湯生活~『夢見る少女の長い夢③』~万里様ご提供
万里様より頂いた作品です。
珍しく?新哀です。
遅れてきた誕生月プレゼントかバレンタインチョコかと思いました(´∀`*)ウフフ
***注意書き***
ヒロインには優しくありません。厳しめですので、ranちゃん派の方は此処で周り右願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情 不満等は対応致しかねます。
尚、他人様の作品であるという事で無断転載や引用、誹謗中傷は御止め願います。
また同じ理由で予告なく、掲載を取り下げるやもしれない事予め通知致します。
**************
万里様からの注意書き:
このお話は、蘭厳しめの新哀です。
蘭がかなりピエロな役割なので、ご了承の上ご覧下さい。
最後に管理人からの再確認です。
注意書き読まれましたね??厳しめです。ヒロインファン 新蘭派はリターン下さい。
それでもOK 大丈夫という方のみ どうぞw
ではスタート↓
「いらっしゃいませ!こちらの席へどうぞ。」
大学を卒業後、蘭は一人で東都へ戻り、ポアロの店員として働いていた。
蘭は東都で就活したのだが、ちょうどその頃 不況の波とぶつかって全敗。
久々にポアロに立ち寄り、梓に愚痴っていると、マスターからポアロに就職しないか、と誘われたのだ。
近々梓は結婚し、ポアロを辞めるのだという。
「是非、蘭ちゃんにうちの看板娘になって欲しいんだ!」
そう言われて、蘭は喜んでマスターの申し出を受け入れた。
そして今や蘭は、明るくて可愛くて気が利く、と評判の、立派な看板娘として活躍していた。
雑誌で紹介されたこともあり、蘭が目当てで訪れる客もいるほどだ。
(ここで働けて良かった!皆親切だし、仕事も楽しいし。
それに――)
「いらっしゃいませ!
って、新一!」
「よー。お疲れ様~」
(新一が会いに来てくれるんだもん♪)
ポアロに就職を決めた大きな理由として、ここで働けば新一と以前のような親しい仲に戻れるのではないか、という期待があった。
蘭の期待通り、新一は暇があればポアロに足繁く通ってくれて、蘭は新一の来店を心待ちにしながら毎日働いている。
「また来たの?本当、ここのコーヒー好きなのね。」
嬉しさを隠しながら、呆れたように言う蘭。新一と離ればなれの間、こういうやり取りをまたしたくてたまらなかったのだ。
「おう。いつもの珈琲豆を一袋で頼むわ。」
「どうせすぐ切らしちゃうんだから、まとめて買って行ったら?何度もここに買いに来なくても。」
「まあそうなんだけどさ。取りあえず一袋でいーや。」
(やっぱり…新一、私に会いたくてわざわざ…?もうっ、相変わらず素直じゃないんだから♪(〃∇〃o))
合理主義の新一が、豆が一袋切れる度にポアロに出向いてくれる――蘭はこれを、新一が自分に会う口実に豆を買いに来ているのでは、と推理していた。
もしも園子が以前のように毎日一緒にいてくれたら、きっとそう冷やかしてくれたろうに、と少し残念に思う。
(でも、自分からそんなこと言ったら、自意識過剰みたいだもんね。)
自分だけの秘密として胸にしまっておこう。
新一も自分に見抜かれているとは夢にも思っていないだろう、と考えると蘭は新一を出し抜いた気分になる。
しかし、高校時代とは変わってしまったところもあった。
「あ、ケータイ俺だ。…予定変更か。プレゼント間に合うかな…」
「え?また新しい彼女?先月別れたばかりじゃない。」
「いーだろ別に。フタマタかけてるわけじゃないし。だいたいフラれたの俺の方なんだから。」
「いい加減な気持ちで付き合うから、すぐフラれちゃうのよ!
フラフラ遊んでばかり…ちゃんと本命の人見付けなさいよね。」
「そう言われてもなー、俺にだって、彼女以外にも大事なことあるんだし。」
「大事なことって、ポアロで油売ってるだけじゃない。こんなとこ来る暇があったら、彼女に会いに行ってあげなさいよ。」
「へーへー、お前に言われなくてもわかってるって。じゃーな。」
「あ、でも、たまにはここでコーヒー飲んでいっても…」
「また今度な。」
「新一っ、…もう、仕方ないんだから。」
大学以降、新一はすっかり遊び人になってしまっていた。
※
大学時代。
自分がやっと彼氏と別れ、意気揚々と新一に連絡したところ、今度は新一に彼女ができたと聞いて蘭は絶望した。
しかし、数ヵ月もしないうちに、新一が彼女と別れたと園子経由で聞いた。
そこですぐに告白できれば良かったのだが、蘭にはその時、また新しく付き合い始めたばかりの彼氏がいた。
(もうっ、どうしていつも間が悪いのよ!?)
自分の気持ちに嘘はつけないが、彼氏は新一の件で意気消沈していた蘭を慰めてくれた人。
「付き合ったばかりで別れを切り出すなんて悪いし…」とぐずぐずと迷っていたが、良くも悪くも正直者の蘭が心変わりを隠し通せるはずがない。
彼との仲は当然上手くいかなくなり、破局。
意気揚々と再び新一に連絡したところ、なんと新一には新しい彼女が出来ていた、というオチ。
こうして今まで、
新一に彼女→蘭は寂しくて彼氏を作る→新一が彼女と別れる→蘭、新一への恋心が復活し、彼氏と別れる→連絡したら、既に新一には新しい彼女がと同様のことが繰り返され、蘭は結局今まで、新一とデートの1つも出来ていない。
やっと元通り一緒に居られるようになったというのに、二人の関係は「ただの幼なじみ」のまま進展はなく、この数年が過ぎてしまったのだった。
※
一応は、蘭も新一と昔のような親密な仲に戻ろうと、アプローチをかけたことはある。
東都に就職してすぐの頃、一人暮らしの新一に、
「新一、ちゃんと食べてる?また私が作りに行ってあげようか?」
と提案した。
高校時代、『通い妻』などと園子に揶揄されていたあの頃に早く戻りたくて仕方なかったのだ。
しかし新一からは、
「大丈夫だよ。つか、彼女に誤解されたくないから、家には絶対に来るなよ。」
「あ、うん、そだね…。」
あっさり断られ、蘭はそれ以上食い下がることは出来なかった。
そして新一が彼女と別れたと聞いて、蘭は再び自分が家事をしに行くことを提案した。
しかし、その時の新一の反応は、
「家政婦のバイトがしたいってことか?」
『そんなに金銭的に困ってるのか?』というトーンで聞かれ、蘭は頭に血が上り、
「もういいっ!」
と一方的に話を打ち切ったのだった。
(人をお金目当ての家政婦扱いなんて…
照れ隠しにしても酷すぎるわよ!!本っ当にデリカシーの無いガキなんだから!
もうっ、例えヨリが戻っても、頭下げてプロポーズしてくるまで、絶対に家事なんてしてやらないんだから!)
という訳で、それ以来 蘭は押し掛け女房作戦を使おうとすることはなかった。
余談だが、あれは生活リズムがほぼ同じの学生時代だから出来た事である。
飲食店は土日祝日こそかきいれ時で、立ち仕事が終わり家に帰れば疲労困憊、とても他人の家に家事しに行く余力はない。
今やろうとしても現実問題無理があることに蘭は気が付いていなかった。
※
そんなこんなで新一とは「ただの幼馴染み」の関係だが、意外にも蘭はこの関係にそこそこ満足していた。
高校時代の蘭の嫉妬深さからすれば、新一が浮き名を流している現状を静観し、嫉妬をぶつけず接していられるなど信じられないおおらかさである。
確かに、今の蘭には余裕があった。
しかしそれは、蘭が高校時代よりも成長して寛大な心を持った、という訳では決してないのだ。
(全く、事件ばかり追いかけて恋人をないがしろにしてたら、どんなにモテてもフラれて当然よ。
私みたいにいつまでも待っててくれる女の子なんて、そうそう居ないんだからね!
新一なんかと付き合えるのは、私くらいよ。)
蘭から見て、新一は恋人に逃げられてばかりだった。
美人で優秀な彼女ができるものの、数ヶ月もたずどの彼女も新一から去っていく。
――新一がフラれる度に呆れながら慰めるのが自分の役目。
――どの恋人も新一の事件優先主義を嫌がるが、自分はそんな理解のない女達とは違う。
――そんな新一を理解しているのは自分だけ。
「やっぱり、新一と付き合えるのは私くらいよね!」
その優越感と自信から、蘭は新一がどれだけ彼女を作ろうと、笑って見ていられるのだ。
ーーその蘭の自信には、いくつかの致命的な勘違いがあった。
1つは、新一が恋人と長続きしない本当の理由。これは後に、蘭は大きな衝撃と共に知ることになる。
もう1つは、
現在の蘭は新一の「単なる幼馴染み」だからこそ笑って見ていられる、
ということだ。
高校時代の蘭は、告白される前から新一とは「公認カップル」と囃し立てられ、自身もその気になっていた。
人間、自分が貰えると思っている権利を侵害されたら頭に来るものである。
“「新一の一番身近な女の子」で「夫婦同然」である自分を差し置いて!”
という思いに駆られたからこそ、新一に女の影があれば、付き合ってもいない内から図々しく彼女気取りで嫉妬したのだ。
だが、現在の蘭は「ただの幼馴染み」で新一には「彼女」がいる。
当初こそその事実に落ち込んだものの、同時に嫉妬や独占欲や世間体から解放されたとも言える。
新一が事件にかかりきりでも、何をして何処にいるのか教えてもらえなくても、「恋人」ではないのだから気にする必要はない。
しかも、蘭には蘭で彼氏がいるので、劣等感も感じない。
お互いに気を遣うような間柄ではなく、付き合っていた頃よりも気楽な関係である。
更に、本来最優先されるべき「彼女」を差し置いて、「幼馴染み」の自分に会いに来てくれる、と思うと蘭は自尊心をおおいに擽られた。
恋人であったときは最優先されなければ気がすまないものも、ただの幼馴染みの立場になれば、少し恋人より優先されるだけで優越感がわくものだ。
(「彼女」なんて肩書きなくても、私は「幼馴染み」なんだから特別よね♪)
要するに、蘭は現在新一の「恋人」ではないからこそ、現状に不満を感じないでいられるだけなのだ。
高校時代、「恋人」である自分よりも事件を優先させていた新一にどれだけ辛く当たったかなど思い出しもせず。
もしも実際に新一の恋人になれば、蘭が嘲笑った元彼女達以上に見苦しく嫉妬と独占欲で騒ぎ立てることとなるのだが、そんなこと考えもせずに。
「彼女」の負う気苦労や面倒事とは無縁で、かつ優越感は満たせるという美味しいとこ取りの現状を楽しんでいた。
(今日も会いに来てくれてるし。私ったら恋人よりも優先されてるみたいじゃない♪)
客観的に見れば、彼女持ちの男にちょっと優しくされただけで
“彼女よりも優先された!私に気があるのかも!”
と自惚れる勘違い女なのだが、内心のことなので蘭に突っ込みいれてくれる親切な人間はいなかった。
“本当に蘭が目当てならば、何故 新一はいつもポアロに長居せずにさっさと帰ってしまうのか ”、という疑問など思い付きもしない。
――新一を理解し受け入れられるのは自分だけ
――新一は恋人よりも幼馴染みの自分が大切
そんな勘違いから余裕綽々で過ごしていられる。
これが蘭の現在である。
※
「やっほー蘭。繁盛してる?」
「あ、園子!いらっしゃい。
ついさっきまで新一も居たんだよ。」
「うん、そこですれ違った。もう新しい彼女出来たんだってね。」
「ホントに仕方ないヤツだよね~。すぐ別れるくせに、女の子が可哀想。」
「まーまー。蘭も懲りずに、新しい彼氏作りなよ。」
「べ、別に私は…、」
新一を女たらしと非難していた蘭だが、自らも彼氏と長続きしないことを指摘されたようでギクリとする。
(私は違うもん…新一がハッキリしてくれさえすれば、他の人と付き合ったりしないのに…。
私だってモテるんだから。昔みたいにいつまでも待ってる都合のいい女じゃないんだからっ…)
新一のことが好きだというのなら無理して他の男と付き合う必要もないのだが、女遊びを続ける新一に対して自分ばかりが操を立てるのも馬鹿らしい。蘭だって新一に負けじと青春を謳歌したい。
それに、新一と自分が両方フリーとなる時期が来るまでは、彼氏を作って自分が魅力的であることを新一に見せ付けておきたい。
――私だってモテるんだから、うかうかしてると他の人にとられちゃうわよ?
そんな思惑から、蘭は告白してきた相手を気に入れば、取り敢えず付き合ってみることにしていたし、彼氏が居ることを新一に隠しもしなかった。
人はそれを当て付けという。
だが、蘭の「恋愛」はいつも長続きしなかった。
「やっぱり、もっとよく考えてから付き合った方がいいのかも。私の場合、付き合ってから『何か違う』って別れてばかりだし。」
「あらら。ま、仕方無いよね。
蘭も理想が高いからなあ。」
(理想が高い?そうかなあ…?)
思い返せば、蘭がフラれる時、彼氏達は皆が同じことを言った。
『蘭の期待には応えられない。』
(“期待に応えられない”って、どういうこと?
私、そんなに難しいこと要求したつもりないのに…)
蘭は、自分が彼氏に求めてきたことを幾つか振り返ってみる。
ある時、彼氏が女の子にモーションかけられデレデレしていた。当然、蘭は怒り、彼とは喧嘩になり別れた。
(私がいながら他の女の子に目移りするなんて、最低!
新一は調子に乗りこそすれ、あんなイヤらしい目で女の子達を見たりしなかったのに。今だって、女の子に迫られたから付き合ってる、って感じだし。ガツガツしてないところが良いのよね。)
その彼は、「お前だって余所の男にちょっと優しくされただけでデレデレしてる癖に。自分はよくて俺は駄目なのかよ」と常々不満に思っていたことを、蘭は知らない。
ある時は、蘭の誕生日に高級フレンチに連れていってもらった。しかし、彼氏のマナーのなっていなさに冷めた。
(だって、新一ならあんな溢したり食器をカチャカチャさせたりせずに、優雅に食べるのに。ドレスコードも分かってないし、店員さんや他のお客さんの視線も痛くて恥かいちゃったわ。彼女を誘うなら、ちゃんと勉強してからにして欲しいのに。)
その彼は、蘭を喜ばせたいがために、慣れないフレンチを身銭を切って予約したのを、蘭は知らない。
ある時は、彼氏がホワイトデーのお返しをすっかり忘れていた。
(忘れてたこと自体はともかく、そのお詫びがお菓子だけなんて。新一なら埋め合わせにもっとちゃんとしたプレゼントの一つもくれるのに。)
その彼は、蘭の希望の日に休みをとるため仕事を詰め込み、デート当日は疲労でクタクタだったことを、蘭は知らない。
ある時は、彼氏がデートに遅刻してきた。直接の原因ではないが、それをきっかけとして険悪になり、破局。
(遅刻自体はともかく、私が許すまでちゃんと謝り続けなさいよね!『謝ってるだろ、しつこいな』とか逆ギレなんて最悪!新一なら私が機嫌直すまで、優しい言葉をかけてくれるのに。)
その彼は、少しでも蘭が機嫌を損ねると、過剰なご機嫌取りを要求してくることに疲れ果てていたことを、蘭は知らない。
ある時は、風邪で寝込んだ彼氏を見舞いに行った。部屋にコンビニ弁当やカップ麺の空が置きっぱなしで、蘭は幻滅した。
(だって、新一は物を出しっぱなしにして部屋を散らかしこそしたものの、生ゴミの処理とか衛生面はキチンとしていたのに。不潔な男の人って嫌だわ。)
自分だって忙しい時には洗い物を溜めていることに、蘭は思い至らない。
別の彼氏は、喧嘩になると大声で怒鳴ってきた。当然、破局へ。
(あれは論外よね。DVよ。)
その彼氏は、蘭が気にくわないことがあると空手を仕掛けてくることに悩んでいた。
先に恫喝することで蘭の出鼻を挫き暴力を未然に防ぐ、という自衛の手段で、暴力でやり返すことの出来ない彼氏の苦肉の策だということに、蘭は気付かない。
蘭は知らない。
自らの行動が、どれだけ彼らを悩ませていたのかを。
蘭は考えない。
彼らが陰でどれだけ蘭のために苦労していたのかを。
蘭は気付かない。
新一を基準にしている時点で、恋人に高い要求をしてしまっていることに。
だからこそ、どんなに考えても、蘭は自分に原因があるとは思いもしない。
心当たりのない蘭は、結局、「情けない男ばかり。私って、男運ないなあ」と結論付けてしまう。
相手の好意に甘えるだけ甘えて、その裏側の苦労を知ろうともしない。
蘭は、新一に犯した過ちを、大人になった今も知らず知らず繰り返し続けていたのだった。
※
そんなある日。
蘭が未だに新一の特別であると確信させる出来事があった。
たまたまポアロに新一と園子の二人が来店し、幼なじみ三人で積もる話をしていた時のことだ。
「お客さん来たから行ってくるね。」
「おー、仕事中に悪いな。」
「いってらっしゃーい」
蘭がカウンターを離れた後、園子は声を落として新一に話しかける。
「最近、新一君の浮いた噂を聞くんだけど…。全く、高校時代の超鈍くて淡白な新一君は何処に行っちゃったんだか。」
「あはは…(苦笑)流石に二股かけたりはしてないんだし、良いだろ」
「付き合って別れてまた付き合って、のスパンが短すぎるのよ。椅子取りゲームじゃあるまいに。」
「だってさ、別れた途端に別の女性が告白してくるんだ」
「はーっ、この色男が…。
…けどさ、そんな新一君も、蘭には手を出さないよね。気心知れた元カノとよりを戻そうとか思わないわけ?」
「蘭は大事な幼馴染なんだ。その関係を壊したくない。
やっぱ、幼馴染って特別だよな。」
「……っ、」
この会話を、早く戻ってきていた蘭は聞いてしまった。
(私は特別な幼馴染…!)
――自分は新一にとって彼女なんかよりも大切な女性。
――だからこそ、新一は自分をただ遊びのための恋人の一人になどしない。
――躍起になってそんな存在に成り下がる必要はない。
――“幼馴染み”こそが、最も特別な存在なのだから!
一人盛り上がる蘭は、
「特に、園子が幼馴染で良かったよ。最近はホント、お前の有り難みが身に染みるぜ。」
「あー、私達の場合、大人になってから知り合った人と腹を割って仲良く、て難しいものねえ。
私達個人じゃなくて、“家”や“立場”で見られちゃうから。」
「蘭には話せないことも、お互いなら心置きなく話せるしな。」
「そうねえ。最近じゃ、蘭よりも私達の方が親しいくらいだものね。
新一君から恋愛相談される日が来るなんて、人生 分かんないもんだわ。」
「あはは、いつも女性向けのプレゼントやデートスポット教えてくれてありがとな。蘭と違って現実的な意見で頼りになるぜ。」
(そりゃ、蘭は自分が新一君にしてほしい理想を語っちゃうからねえ…。)
という会話を聞き逃していた。
それ以来蘭は、新一が自分に手を出さないことをむしろ誇らしく思っていたし、新一の彼女達には「気まぐれの遊び相手」として哀れみすら感じていた。
その優越感のおかげで、蘭は新一の女遊びに対していっそう寛大でいられた。
(何度 離れ離れになっても、運命の恋人達は最後には結ばれる…!)
蘭はそう信じていた。
――彼氏と別れる度に男への悪態を聞かされる新一が、自分をどんな目で見ているのか考えもせずに。
※
幸せな夢に浸る夢見る少女。
不穏な目覚めの気配など気が付きもしない。
―――――――――――
( ・ω・)∩質問コーナー
Q.蘭ちゃんはモテるんですか?
A.モテる=告白される、という定義ならば、ズバリ モテます。
容姿は大和撫子風に可愛いし、性格も世話好きで一見おしとやかなので、とってもモテます。
「笑顔の素敵な看板娘」として雑誌で紹介されたこともあるくらいです。
愛想が良くて声をかけやすいので、完璧な美人よりもバンバン告られます。
ただし、外面は凄く良いんですが、反比例して身内と見なした相手には過剰なまでに我が儘で甘えたで乱暴なので、付き合っても長くは続きません。
また、新一への当て付けで付き合ってるだけなので、無意識で新一と今彼を比べてしまってることもあり、「彼氏」に対する夢と希望が無限大。分不相応に高い彼氏レベルを要求し、根を上げた男達に逃げられる、と。
理想の男水準が高すぎるがために、それなりにいい男達をキャッチ&リリースしてばかり。
(しかし、男達も蘭ちゃんの厳しい要求が修行となって、更に男を上げてその後は素敵な彼女をゲット出来た、という裏話アリ。)
なので、現時点でも告白だけならされる側なんです。
ひとたび付き合えば(事実上※)フラれる側になりますが。(※フる形でフラれることもアリ。)
蘭ちゃんは「彼氏作るまではその気になれば簡単だけど、持続させるのは下手なタイプ」だと思います。
(しかし自分で書いておいてなんですが、20代前半でこれってどんだけ短いスパンで男とっかえひっかえしてるんだ…)
Q.遊び人の彼が、私にだけは手を出さないんです。これって私を特別大切にしてくれてるってことでしょうか?
A.特別大切にしているか、または眼中にないか、または「手をつけたら面倒な女」と敬遠されてるか、のどれかです。
Q.彼氏を作って「モテる女」アピールするのってどう思いますか?本命の彼が嫉妬して私に告白してくれたりしませんかね?
A.論外です。悪手ですね。
よほどの寝取り趣味でもない限り、彼氏持ちの女を略奪するなんて面倒なこと、まともな男はしません。
Q.蘭って金銭的に余裕ないのか?なんか、やたらうちで家政婦のバイトしたがってるんだけど。まさかホストに貢いだりしてないよな?
A.あー…、それはないから、大丈夫よ。単なる小遣い稼ぎじゃない?うん。
Q.…蘭に家事頼む気は、ない、よね?
A.当たり前だろ。俺、普通に家事出来るし。必要な時は、信用の置けるプロのハウスキーパーに頼むに決まってるだろ。もう子供じゃないんだから、単なる女友達をホイホイ家に上げるかよ。
***雪月花桜の感想***
無駄な押し掛け女房作戦をやる気があるなら、素直に好意を示した方が恋の成就率上がると思うのですが??
あのね蘭ちゃんそれは両片思い時代しか通用しない戦術だから!
当てつけとかも逆効果だから!!!悪手ばかり連発する蘭 どんどん引き下がる新一 みたいな心象風景が見えます。
”「彼女」の負う気苦労や面倒事とは無縁で、かつ優越感は満たせるという美味しいとこ取り”
これ独身の自由・気楽さと夫と子供を持っている安心感のよいとこどりしてた英理さんと同じ思考回路では・・・??
流石親子そっくり
そんな蘭ちゃんの歴代彼氏本当にお疲れ様です・・・次はきっと良い恋が見つかるし、上手くいくよ!だって比較対象が蘭だから。
そして勝手に”幼馴染”に彼女より上な幻想まで抱く始末(;´Д`)
いや園子の方が既に親しいよね??珈琲豆買っても長居しないってお目当て君じゃないよ・・・って気付いてない さあどんどんピエロと化してます(鬼
万里様の質問コーナーも最高です(゚д゚)(。_。)ウン(゚д゚)(。_。)ウン
”男達も蘭ちゃんの厳しい要求が修行となって、更に男を上げてその後は素敵な彼女をゲット出来た、という裏話”
これ、これ読んでみたいです。でΣ(゚д゚lll)ガーンとなった蘭ちゃんとか(更に鬼
万里様 お気が向きましたら是非にWWW
次話【20代半ば・とらぬ狸の皮算用に酔いしれる】も、すぐUPいたしますので、どうぞお楽しみにv( ̄Д ̄)v イエイ
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