20代半ば:とらぬ狸の皮算用に酔いしれる~『夢見る少女の長い夢④』~万里様ご提供
万里様より頂いた作品です。
珍しく?新哀です。
遅れてきた誕生月プレゼントかバレンタインチョコかと思いました(´∀`*)ウフフ
***注意書き***
ヒロインには優しくありません。厳しめですので、ranちゃん派の方は此処で周り右願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情 不満等は対応致しかねます。
尚、他人様の作品であるという事で無断転載や引用、誹謗中傷は御止め願います。
また同じ理由で予告なく、掲載を取り下げるやもしれない事予め通知致します。
**************
万里様からの注意書き:
このお話は、蘭厳しめの新哀です。
蘭がかなりピエロな役割なので、ご了承の上ご覧下さい。
最後に管理人からの再確認です。
注意書き読まれましたね??厳しめです。ヒロインファン 新蘭派はリターン下さい。
それでもOK 大丈夫という方のみ どうぞw
ではスタート↓
「ごめんなさい。私、忘れられない人がいるんです。」
告白を断られ、意気消沈して立ち去っていく男の後ろ姿を見送る蘭。
(告白断るのも気が重いなあ。
もう、新一さえハッキリしてくれれば、『恋人がいる』って断れるのに。)
蘭は20代半ばとなっていた。
相変わらずモテる方だが、ここしばらく彼氏はいない。
新一も最近は恋人がいないからだ。
蘭はこれを、新一が蘭に想いを告げる決意をする前兆だと感じていた。
以前より、「新一は本当は自分を好き」と思っていた蘭だが、ここ最近の新一の反応から、その考えにより確信を持つようになっていた。
※
それは、少し前のクリスマスイブの出来事だった。
新一がいつものようにポアロに豆を買いにきた。
「クリスマスなのに、大変だな」と言う新一にムッとした蘭は、「ちゃーんと今夜はデートの予定入れてますー!」と言い返した。
しかしその直後に、新一が持っていたブランド店の手提げバッグが目に入った。
明らかにプレゼント用の品で、それに添えられたカードの文字まで見えてしまった。
“Dear Ran”
カードには確かに、そう書かれてあった。
『しまった!』
蘭がそう思った時にはすでに遅く、
「そっか、良かったな。じゃ、俺はこれで。」
と新一は立ち去ってしまった。
その晩、蘭は彼氏とデートしたが、新一が持っていたのより数段下のランクのプレゼントを嬉々として差し出す彼氏を前にして、思わずため息をついてしまったのだった。
後日、破局したのは言うに及ばず。
※
(あれは本当に失敗した…。あんなこと言わなければ、あの日に新一が告白してきたのに…。)
(翌日、電話したけど、彼女とデートだからって切られたし…。あのプレゼントどうしたんだろう…。)
(私も悪かったかもしれないけど、女遊びで気をまぎらわそうなんて、自棄になりすぎじゃない?変な女に引っ掛かって、出来ちゃった~、なんてことになったら困るわよ。
全く、新一てば嫉妬深いんだから。)
また、こんなこんな出来事もあった。
※
「…でね、そんなの男として有り得なくない!?」
「いやーまー、仕方なくね?蘭は男の理想高過ぎなんだよ。男ったって色々いるだろ。」
「なによ!新一はそんなことしないじゃない!」
「まーそーだけどさー。そんなだと長続きしないだろ?」
また彼氏と別れ、いつものように新一に愚痴っていた蘭。
流れで新一に思い付いたことを聞く。
「新一こそ、一人の人と長続きしないじゃない。どうしてなの?」
「…忘れられないヤツがいるんだ…」
伏し目がちに笑い、新一はそう呟いた。
その哀しげな笑顔も美しく、蘭は心臓を射ぬかれたかのような心地で閃いた。
(やっぱり、新一、私のことが忘れられないんだ…!)
これは、新一からの遠回しな告白なのではないか!?
その日は夢見心地で帰路につき、一晩中新一のことを考えていた。
(今日のアレって、やっぱり、遠回しな告白だよね…?)
(新一の奥さん、ってなると、荷が重い。それは今の私なら分かる。)
(でも、新一は高校以来、ずっと私を忘れられなかった。)
(今だって定期的に私に会いに来てくれてるし。豆を買いに来たなんて口実で、私との繋がりを保ちたいからだってこと、ちゃんと分かってるんだから。)
(そのくらい強い想いで私を求めてくれるなら、私だって、応えてあげたい。)
(奥さんとしての難しいお仕事も社交も、少しは頑張ってあげたい。)
(新一がそれほど私を愛してくれてるなら、きっと、私のこと守って助けてくれるはずだし。)
(大丈夫。私なら、きっと新一の奥さんも務まるわ!)
※
ということで、現在蘭は誰とも付き合っていない。
新一もその頃から彼女を作らなくなったので、蘭はますます期待した。
(もう彼氏作るのは止めて、大人しく新一を待とう。新一って子供っぽくて嫉妬深いとこあるから、自棄になってまた好きでもない人と付き合っちゃうかもしれないし。 )
(新一が安心して告白出来るように、私がフリーのイイ女だって分からせてあげなきゃ。)
(早く私に告白してくれないかなあ。)
蘭の期待は膨らむ一方だった。
そしてその期待は蘭を慢心させ、自分から新一に告白しようという積極性を奪っていた。
高校生の頃と同じ。
「待つ」というと健気で聞こえは良いが、蘭の場合は何もせず期待ばかりを膨らませるだけ。
20代半ばにもなって、蘭の恋愛観は夢見る少女のままなのだった。
※
「こうして二人で遊ぶのって久しぶりだね、園子。」
「ホント、大人になるとなかなかゆっくり会う機会作れないよね。ポアロに行けば蘭には会えるけど、仕事の邪魔しちゃ悪いし。」
今日はポアロではなく、大型ショッピングモールのカフェで蘭と園子はお茶していた。
園子は既に京極と結婚し家庭と仕事に忙しく、蘭とはなかなか会えないでいた。
「蘭はどう?新しい恋の予感は?」
「う~ん、特にないかなあ…。」
「そっか。ま、それもいいよね。焦ることないって。」
「っていうか、そろそろ真剣に結婚相手探そうかな。
新一も最近は落ち着いてきたし、見習おうかなって。」
蘭は新一が自分に気があることを園子に言いたくて堪らなかった。
だが、この親友は蘭を思うあまり先走ったお節介を焼きたがる。
近年はめっきり大人びてそういうことは言わなくなったが、ここで新一との関係の復活を匂わせれば、学生時代のノリが甦り、
『そんなことならこの園子様に任せなさい!新一君が早くプロポーズするよう協力するわ!』
等と暴走しかねない。
高校時代は公認夫婦扱いだったのでそれで良かったが、現在の微妙な関係にそんな強引な後押しは逆効果な気がする。
(新一の決意が固まるまではそっとしておいたほうが良いよね。
新一って結構子供だから、余所から水を差されて台無しにされたくはないし。)
「まあ、新一君に本命彼女が出来ないのは分かるけどね。」
「え?どういうこと?」
「だってさ。現実的に考えて、新一君と結婚したら大変だよ?
父親は世界的推理小説家であり各国の警察に顔が利く、母親は大女優で世界中の著名人とコネがある、そして本人は世界的な探偵。
こ~んな天才セレブ一家、彼女ならともかく、結婚相手となると音を上げる女ばかりじゃない?」
「え、そ、そうかな…。」
「そりゃそうよ。
新一君は世界的な探偵で、世界中を飛び回ってるじゃない?
新一君に着いていってサポートするにしても、探偵の助手が出来るだけの専門知識やが必要だし、何ヵ国語も話せなきゃいけない。死体の写真見せられたり犯罪者と対峙したり、かなりキツくない?
有希子さんが旦那さんの手助け出来るのだって、その知性・教養・人脈が役に立つからよ?
そんなもの普通の女はまず持ってないわ。」
「う、う~ん…。
じゃ、じゃあさ、仕事には口挟まないで、普通に奥さんとして新一の仕事についていくのは?
ほら、旦那さんの転勤に着いていく感じ。」
「それだと、新一君が何の目的で某国に行って、どうして午前様になったり何日も家に帰らなかったのかも知らされないんだよ?
自分の旦那がいつどこで誰と何をしてるかも知らされないなんて、側にいる分余計に不安じゃない?」
「え?だって、夫婦なんだからそのくらい…」
「教えてもらえるわけないわよ。助手やってるならともかく、そうでなきゃ奥さんとはいえ仕事に関しては部外者だもの。」
「え…でも…」
「例えば蘭が彼氏に浮気を疑われて彼氏が探偵に浮気調査を頼んだとして、探偵がそれを妻子にペラペラ喋ったりしたら嫌でしょう?その妻子と蘭に共通の知り合いがいたら?どこで情報が漏れるか分からないわよ。
浮気が無実だとしても、蘭の名誉はめちゃくちゃになるわ。」
「それは嫌!
だけど、その、」
「私だって、恋人時代は京極さんに言えないこと多くてストレス溜まったわ~。
まあ、京極さんはそういうの察してくれる人だから、問い詰められて険悪になったりはしなかったけど。
結婚してうちの仕事を手伝ってくれる今は、隠し事もほとんどなくって。本当に彼には感謝してる。」
「も~結局、京極さんのこと惚気たいだけ~?(笑)」
「ウフフ(笑)」
(大丈夫よ…。私は高校のときからずっと、新一に愛されてるんだから。そんな私に新一が無理させる訳ない。)
(私は他の遊びで付き合う彼女達とは違う。新一に強く望まれて結婚するんだから。)
それは身も蓋もない言い方をすれば、
『自分は新一がどうしてもと言うから結婚してあげるのだから、妻としての面倒な役割は免除されて当然。』
という傲慢きわまりない思考。
そういうカップルも世の中にいるのだろうが、まだ「ただの幼なじみ」の段階でそこまで思い込めるとは、取らぬタヌキの皮算用も良いところである。
「そういえばさ!
新一の事務所で哀ちゃんがアルバイトしてるんだって。」
蘭は話題を変えることにした。
これ以上、新一との結婚について不安を煽るような話を聞きたくはない。
「ああ、知ってる。
あの目付きの悪いガキんちょも、すっかり美人で大人っぽくなったよね~」
(え?園子もう知ってるの?私の方が頻繁に新一と会ってるのに、いつの間に?
ま、いいか。)
違和感を感じたが、流して話を続ける蘭。
「そうそう。
それでさ、私が、『哀ちゃんは同級生に気になる子いないの?』って聞いたら
新一が『そんなもんいねーよ!』って(笑)
久々にあんなムキになってるとこ見て、何か可笑しかった~。まるで保護者気取りで、新一も年をとったんだな~、って。」
「………」
蘭は新一の過保護ぶりが可笑しく微笑ましくて話題に出したのだが、園子はそれを聞いて一瞬真顔になり沈黙した。
蘭が「どうしたの?」と聞くと、「ううん、何でもない!」と妙に明るく返される。
そして、さっきの表情などなかったかのように、ニヤリとイタズラっぽく笑って言う。
「…なーんか、怪しくない?新一君と哀ちゃん。」
「え?怪しいって、何が?」
「だからさあ、ラブの予感?」
蘭は目を丸くした。
そして、
「アハハハ!あり得な~い!それじゃ新一がロリコンじゃないの~(笑)」
と爆笑した。
蘭と新一は、哀が幼い子供の頃から知っている。
蘭が就職して東都に帰って来た時には、新一は少年探偵団の“頼れるお兄さん”となっていた。
高校時代“頼れるお姉さん”だった自分と対のようで、『私達って似てる♪』と蘭は微笑ましく思った。
だから、哀達が成長したといっても未だに『近所の子供』の意識が抜けない。新一だって自分と同じはずだ。
10歳も差があれば、“違う世界の人間”としか蘭には思えない。絶対に恋愛の対象にはならない相手だ。
そんな『子供』と新一が恋愛?
そう言って笑う蘭に、園子は勢いこんで話し出した。
「いやいや!だってさ、アレだけの美少女よ?いっくら目の肥えた新一君でも、なかなかお目にかかれないレベルじゃない?
あんな美少女に迫られたら、新一君でもグラッとくるって!」
「え~?
新一の今までの彼女って年上ばかりでしょー?
新一にとって、哀ちゃんはまだまだ子供だよ~。
だいたい、小学生の頃から知っているってだけで、守備範囲外じゃない?」
「そんなの関係ないって!
蘭だってさ、想像してみてよ。
あの眼鏡のガキんちょで!」
「コナン君?」
「そう!
あのガキんちょが新一君似の美男子に成長して、背も私たちより高くなっちゃって、低い声で、『蘭…ずっと好きだったんだ』とか迫ってきたら?」
「!?」
蘭はギクリとした。
あの自分を慕ってくれた少年が、新一似の美青年となり自分に迫ってきたら…
思わず想像してしまい、顔が熱くなった。
(やだ、私ったら!)
「も~園子ったらヤメテよ~(笑)
相手は中学生だよ?下手したらこっちは犯罪者じゃな~い」
「甘いわね!18なんてすぐよ、すぐ!」
「え~、私達からしたら、まだまだ子供だよ~(笑)」
確かに、哀は新一を好きなのではないか、と蘭は感じている。
哀がまだ中学生の頃、蘭がいつもの冗談で新一のだらしなさを揶揄した時、
『新一さんは素敵な人よ。悪口は聞きたくないわ。』
と哀にぴしゃりと言われてしまったことがあった。
だが、蘭はそのことに微笑ましさこそ感じても、危機感を覚えることはなかった。
だって、哀のこの発言は、本当の新一を知らない証拠だ。
新一に対して憧れと理想を抱いているだけ。
新一の歴代彼女達と同じで、新一の私生活のだらしなさを知れば、幻滅するに違いない。
(子供の頃って年上の男の人に幻想抱きがちだもんね。哀ちゃんも大人びて見えて、まだまだ子供だなあ。
ま、私はそんな新一に慣れてるけどね。)
新一が子供を相手にする筈がないし、自分は新一について知らないことはない。
そんな自負があるからこそ、蘭は哀をライバルだとは思いもせず、寛大な態度でいられる。
要は哀を子供だと思って舐めているのだ。
「でさ、今度合コンの幹事やるんだけど、蘭も来なさいよ~」
「もう、いいったら、園子。最近そればっか。お見合いおばさんみたいだよ~(笑)」
「ちょっと~、そこは『お姉さん』でしょ~(笑)」
(合コンなんて冗談じゃないよ。新一に誤解されちゃうじゃない。)
誤解も何も、これまで何人もの彼氏との別れ話を新一に愚痴ってきたのだが、それは無意識に棚に上げるのが全くもって蘭だった。
(それにしても、何で最近はこんなにしつこいんだろう…?)
蘭は疑問に思ったが、楽観的な質で「まあいいか」と思考停止した。
そのため、園子の心配そうな視線にも気が付かなかった。
※
一日中遊び歩き、お開きの時間となった。
親友二人は笑顔で手を降り合い、再会を約束する。
「今日は楽しかった~、また会おうね!」
「うん!」
「…覚悟しといた方がいいよ…蘭。」
そうして、去っていく蘭の背中に、園子はポツリと悲しげに呟いた。
※
親友の危惧にも気付かずに、夢見る少女の夢は膨らむ一方。
膨らめば膨らむほど、夢破れた時のダメージは大きいというのに。
――――――――
( ・ω・)∩質問コーナー
Q.何で蘭ちゃんはこんなに自信満々なの?自分に夢見過ぎじゃね?
A.新一の歴代彼女達の存在もあります。
彼女達は皆一様に新一に相応しい才色兼備の素晴らしい女性達でした。
しかし、蘭視点では彼女達は新一に愛想つかして去っていった。
→私は素の新一を知っても好きでいられる!新一と付き合えるのは私くらい。あんなスペックばかり高い女性達よりも、私の勝ち!
と独り謎の勝利感に酔ってます。
また、新一がフラれまくっている(ように見える)ので、
「新一って外面だけ良くて、実際に付き合うとモテない男なんだ。誰かにとられる心配ないわ!」と油断しきっています。
でも、それも仕方ないことなんです。
だって蘭ちゃんは新一君とはそんなに親しくないから、新一君のことなんて何も分かってないんです。
新一君をモテない男だと誤解して、余裕こいてるのも無理からぬことなのです。
***雪月花桜の感想***
痛い女道を驀進している蘭ちゃんです( ゚∀゚)アハハ八八ノヽノヽノヽノ \ / \/ \
忘れられない人がいるから告白してくる男性たちも断らなくては・・・私って健気(思い込み) みたいな。
とりあえずせっかくの彼氏からのプレゼントに溜息つくのはやめよう。
題名通り夢見てて・・・幸せなんですよね しかしその妄想一人相撲だってことに気付いていないのがまた┐(´д`)┌ヤレヤレ
凄いナチュラルな私を好きなんでしょ!?脳内妄想。 ジャイアンかいッ!贈り物も自分宛と思い込んでるけど ねえ( ̄ー ̄)ニヤリ
しかしその夢もここまで。
お次は皆様お楽しみたーいむwww 【20代後半:夢の終わりは突然に】です。
題名から分かりますね( ̄ー ̄)ニヤリ ここからが万里様の真骨頂です。素晴らしい出来栄えです(((uдu*)ゥンゥン
悟っている園子との格差が激しい・・・。
万里様の質問コーナーも楽しいです。其処から分かるのは彼女らは振っているように見えて実は・・・ってやつですね。
蘭が自分で振っているようで振られている(呆れられている)とは逆な現象が新一に起きているって何故気付かないのか・・・
あ、その対象が自分って思っているからか('ω')ノ
それでは【20代後半:夢の終わりは突然に】にて皆様 再び語り合いましょう(´∀`*)ウフフ
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