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赤木量子と初めて名乗った日



夢の絆シリーズ(コナン小説で逆行物 新志小説)の番外となります。
時系列的には、夢の絆①~幼い恋の終焉~の数か月後の出来事をある女性が5年後に追憶している話です。
夢の絆 本編 番外編をすべてお読みになってからの方がより理解が深まると存じます。
下記注意書きをお読みになられてから、ご覧下さい。



***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロイン派 新蘭派はご遠慮願います。
後、本作品に出てきませんが、服部君にも優しくありませんのでご注意願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
*************



注意書き読まれましたね?
ではどうぞW






”彼女でもない、彼を好きでもないのなら、どこか行って欲しい”
量子が毛利蘭に抱いた第一印象はこれである。


「おめでとうございます。」
婚姻届けが受理され、晴れて”赤木量子”になった彼女は、五年前のことを思い出していた。
赤木量子と初めて名乗った日のことを-。
恋人の英雄に頼まれ、弟の守の世話をしに行ったらもぬけの殻で子供部屋はひどく荒らされていた。しかも脅迫状がある。
真っ青になって彼に電話した量子は助けを求め、高校生探偵と名高い工藤新一の元に駆け込んだ。
その際、新一の彼女であると”赤木”量子であると名乗った。
恋人を名乗ったのは、別の高校に通う彼を探す時間を必要最小限にするため。
良心は傷んだし彼に本当の彼女さんがいるなら後で平謝りする覚悟でいた。
赤木を名乗ったのは、この高層マンションの住人になりすます為である。
鍵は預かっているから不法侵入ではないが、説明する時間が惜しかった。
犯人は英雄に試合で負けろと、そうでなければ弟の命はないと脅していたからもう時間がない。
それなのに、あの時絡んできた蘭という少女はいやに食い下がってきた。
隣で宥めている茶髪のセミロングの子の言葉も聞いていないようで、すごい形相である。
本当の恋人か、彼のこと好きなのかもと思い「もしかして彼女さんですか?」「工藤さんのこと好きなんですか?」と聞いても「違う。彼女なわけないでしょ。」「あんなスケコマシ好きなわけないじゃない。」「大馬鹿推理の介!」などと言う。
そのくせにいやに幼馴染を前面に押し出し、こちらの関係を探ってこようとする。
(幼馴染だからってなんでわざわざ交際を報告しなきゃいけないわけ・・・?)
だったら関係ないじゃない。時間がないのに…!と焦っていた彼女に救世主 工藤新一が現れたのはその時。
「その女何よ!」と嫉妬丸出しで自分について聞いてきたけど「関係ないだろ?」と本当に興味なさそうにあっさりといなし、こちらに真剣な眼を向けてきた彼。
「お急ぎのようですね。行きましょう。」
まるですべてを見通すかのような蒼の双眸。1歳だけ歳上だと聞いていたのに、10歳以上の人のような風格に安心感がどっと押し寄せ、眼に涙が溜まる。
その涙を見て更に彼女がわめいていて戸惑う。重ねて言うが本当に時間がない。
「さ、行きますよ。あれは気にしなくていいので。」
何故かその時量子は彼なら大丈夫と思った。彼に任せておけば大丈夫、と。
そしてその勘は当たっており、彼はあっと言う間にこの誘拐が英雄の親友である直樹の仕業であると見抜き、守はただ単に直樹の家で遊んでいただけで無事に保護されたのだった。
直樹も英雄を困らせようと思っていただけで、警察沙汰にならず済んだ。
真実を知った英雄が泣きながら直樹を平手打ちする後日談はあったにせよ、訴えることは考えてもいないようで、「これからもライバルだぜ。」と笑っていてベストな解決になったのだと量子も嬉しく思ったのだった。

「ふふ。」
「どうした量子?」
夫となった英雄が聞いてくる。
「いえ、初めて赤木量子と名乗った日のことを思い出して。」
「ああ。工藤君のお蔭で助かった。…直樹も人一番くそ真面目だから変な拗らせ方するんだぜ。」
「二か月後の結婚式で会えるの楽しみね。」
「ああ。サッカーやれるといいな。才能が惜しい!うちのチームに引っ張れたらな。」
あの事件の後、度々会うようになった英雄は工藤君のサッカーの才能の惚れ込み、惜しい惜しいと繰り返している。
留学前にもサッカーをして別れを惜しんでいた。
量子自身も年齢より大人びて見える彼がサッカーしているときだけ年相応に見えて好きだった。
「仕方ないわよ。彼には探偵ってもう一つの才能もあるんだから。」
「…世界的犯罪組織を倒しちゃうとかな-。」
勧誘しにくじゃんかーと唸っている夫に笑ってしまう。
「志保さんにも会えるの楽しみだわ。」
(幼馴染と結婚したって聞いたとき、あの黒髪の般若面した子かと思って焦ったけど、全然違ってて良かった~。)
二人は一年前新一が結婚した際に招待されているので志保とも面識がある。
(正反対のタイプの美人さんよね。人の話をよく聴く知的なクールビューティー。
って言うかあの子 蘭さんだっけ?があまりにも人の話聞かないだけね。)
幼馴染というだけで、心が貰えるわけない。結婚出来るわけがない。
当時は焦るあまり其処まで頭が回らなかった量子だが、冷静に考えれば蘭が新一が好きなことは丸わかりだった。
事件解決後に謝りに行った方がいいか、誤解を解いた方がいいかと新一本人に相談したが「いや、量子さんが嫌でなければそのままにしてもらえませんか。万が一しつこくされたら、真実を言って頂いて構いません。」と言われたのでそのままである。
(あの言い方で分かっちゃったのよね。誤解されても構わない…工藤さんは全然彼女にその気がないって。)
だったら量子という”偽”彼女らしい存在でも匂わせておいたほうが色々便利なのかもしれない。
恩返しのつもりでそのままにしておいた。
無論二股と思われるのは嫌なので、当時恋人だった英雄には予め言っておいた。
「だからね。その子、英雄の熱心過ぎるファンと似てて…工藤さんの防波堤って言うか…そういう意味で敢えて誤解、解いてないんだ。」
「何だそれ 大丈夫か!?工藤君 もてそうだもんな。ストーカーにならなきゃいいけど。俺としては、量子にも変な言いがかりつけてこなきゃいいぜ。」工藤君と自分を心配してくれる恋人が嬉しくも誇らしくもあった。
「しつこくされたら本当のこと言っていいって工藤さんに言われたけど、あれ以来会ってないし。」
尤も量子は本当の名字を名乗っていないので探し出せていないだけかもしれない。
そうしたら蘭本人ではなく、茶髪の友人が会いに来て、”幼馴染というだけで、恋人になれるわけがない 努力が必要”という量子の持論が展開されたのだが、それはまた別の話である。

五年前の出来事をつらつら思い出していたがスマホからの音にはっと我に返った。
”結婚おめでとう!赤木量子になった初めての日だね”
”ありがとう。なったのは今日が初だけど、名乗ったのはもっと前だよ♪”
”え~何それ。あ、同棲した時から名乗ってたの?”
”うふふ 秘密(⋈◍>◡<◍)。✧♡”
”気になる~。”
量子のLINEの遣り取りはいつになく賑やかな入籍日であった。

***************
後書

夢の絆①~幼い恋の終焉~の後に起こった『新一の彼女編』量子ちゃん追憶編です。
あのお話、よく話題になりますが、蘭が嫉妬に狂った回ですよね。
両片思い時代とはいえ、あそこまでよく嫉妬むき出ししておいて幼馴染として知りたいとか言えるなと思います。
夢の絆では片思いですので新一も作者も更に容赦がありません(笑)ので、こうなりました。
本当はもう少しヒロインの性格を書きたかったのですが、量子ちゃんは守君のことで頭がいっぱいなので、正直それどころじゃない…!とアッサリバッサリしてます(爆

茶髪のセミロングの子は園子です。皆様丸わかりですよね(笑)
量子と園子の対話も書けたらいいなと思ってます。
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))





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コメントありがとうございます(*^▽^*)

桐様

こんばんは☆彡
こちらこそまたまたコメントありがとうございます。(^O^)

<(幼馴染だからってなんでわざわざ交際を報告しなきゃいけないわけ・・・?)
<恋人でもないのに、ただの幼馴染を浮気と決め込んで、嫉妬丸出しで般若の形相していた回。
<第3者からしたら蘭ちゃんの態度が、なんで幼馴染なのに嫉妬丸出しの所作するのか不思議と思いますよね(^_^)/。
全力で同意です(゚д゚)(。_。)ウン(゚д゚)(。_。)ウン
やっぱりそう思われますよね♪幼馴染教がいつまで通用すると思ってるのは一体何故なのか(。´・ω・)?


また小説浮かんだらupさせて頂きますね。
それではまた

雪月花桜より(*´▽`*)
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雪月花桜

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