幼馴染と恋人
夢の絆シリーズ(コナン小説で逆行物 新志小説)の番外となります。
時系列的には、夢の絆①~幼い恋の終焉~の後です。
『赤木量子と初めて名乗った日』の中に出てきた量子と園子との対話です。
夢の絆 本編 番外編をすべてお読みになってからの方がより理解が深まると存じます。
下記注意書きをお読みになられてから、ご覧下さい。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロイン派 新蘭派はご遠慮願います。
後、本作品に出てきませんが、服部君にも優しくありませんのでご注意願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
幼馴染みとは”男女問わず2~7歳くらいの頃から仲良くしており、今もその間柄が続いている関係”という意味で使われることが多い。
同姓なら親友、異性で同年ならカップルと冷やかされたり、歳の差があれば兄妹みたいに見られたりしやすい。
いきなり現れた新一君の彼女を名乗る赤木量子さん。
キスまで済ませたという爆弾発言に噴火した蘭を抑えているうちに、いつの間にか来た新一君と一緒に去っていた女の子。
次の日、業を煮やした蘭が彼女について再び問い詰めるも「俺の交際関係をわざわざ毛利に話す義理はない。」と静かにけれど毅然として新一君に拒絶され、落ち込んでいる姿を見ていて心が痛んだ。
(彼女じゃないとは思うのよね。だってそれなら「もしかして彼女さんですか?」なんて聞くわけないもの。)
それを直接言う気になれないのは好きなのに素直になれない親友に少しずつ距離が出来ていたからだ。
(前みたいに新一君は蘭を好きじゃない。つまり今までのままじゃダメってことなのに蘭ってば全然変わろうとしない。)
あんなに好き好きオーラ出しておいて、あんなに嫉妬むき出しの顔をしておいて「好きじゃない」だ。呆れてしまう。
それでも見捨てられないのは長年の友情。
(彼女じゃないけど彼女だと名乗る必要があった…。新一君に急いで会わなきゃいけない理由。警察が呼べない案件?)
誘拐と天啓のように閃いたのは彼女が実際に未遂だったが身代金目的の誘拐に遭ったことがあるからだ。
鈴木財閥の名は伊達ではない。
「え?いやまさかねえ。」
最初は突拍子もない発想に思えたが、当時の量子と新一の二人の様子を思い出せば出すほどそう思えてならなかった。
米花高校で行われたテニス大会で園子は量子と思わぬ再会をする。そこで彼女の名字が”赤木”ではない事を知った。
(道理で蘭が見つけられないはずだわ。)
制服で米花高校と分かっていたから、学校の門で待ったり生徒に「赤木さんいませんか?」と尋ねたのだが空振りだったと聞いていた。
二人が付き合うことを当然と思っていた以前の園子だったら、一緒に行っただろうが(そんなことより新一君に好きの一言でも言えばいいのに)と咄嗟に思った園子は付いてきて欲しそうな眼をした蘭からそっと目を逸らし、素知らぬふりで帰宅したのだった。
(そんな私の方が会ってしまうとはねえ。)
見掛けた以上咄嗟に声を掛けてしまい、高校の中庭でこっそり話していた。
いくら距離が出来ていようとも長年の友情もあるし、人はそう簡単に変われない。
園子は「夫婦同然で。」「照れているだけだから。」とつい二人の関係を両想いの幼馴染と語ってしまっていた。
「それは鈴木さんの意見でしょう。毛利さんが自分の口で工藤君のこと好きって聞いたことあるんですか?」
眼の前の量子の言葉に咄嗟に言い返せない自分を園子は自覚していた。
同時に親友の自分にすら一度も本心を語ってくれていない、という現実にも気が付いてしまった。
(態度でバレバレだったから気にしてなかったけど・・・)
改めて第三者に指摘されると凄いショックだった。
結局、園子の目的である量子が新一の彼女ではないという言質を取る前に「私 これから委員会あるので失礼します。」という言葉で話は終わってしまったのであった。
これを機に蘭と園子の精神的距離は園子が後継ぎの道を選択したこともあって、どんどんとひらいていくことになる。
同じ年で同じクラス 周りも公認の雰囲気。
先程の話を思い返す量子。
(なんて恵まれた環境だろう。それなのに何一つ行動を起こさないなんて。いえ起こした行動がアレなんて。)
量子と英雄も幼馴染だ。ただし3歳の差がある。
10代の3歳差は大きい。中学・高校だと一緒に学校を通う事すら叶わない。
最初は周囲に兄妹のように扱われた。量子本人も頼りになるように兄のように慕っていたから問題なかった。
けれど少年は成長するし、少女はいずれ女になる。
英雄が高学生の時に初めて彼女が出た時に思わぬショックを受け、その後もモテる彼の姿に胸が痛むようになった。
(あれで気付いたんだよね。)
それでも心地よい関係性を手放したくなくて、妹扱いされているのだからと諦めようとした恋心。
結局悩んで悩んで諦めきれずに、中学の卒業式に迎えに来てくれた彼と二人きりになった時にした告白。
実は俺もと照れた顔をした彼に感じた歓びは忘れられない。
(もしかして毛利さんは恵まれているからこそ、ああなのかもしれない。)
いつでも言えると思っているのだろう。いや、あの憎まれ口からしたら、言って欲しくてたまらないのだろうか。
(幼馴染だからって言ってたけど、幼馴染って一人だけと限らない。小さいころから仲良くしてたって言うなら数人いるほうが普通。)
「・・・幼馴染だから恋人じゃないよ。」思わずポツリと呟く。
(今の関係性を崩しても新しい関係を築く勇気がなくっちゃ。)
同じ年で一緒に登校したり、修学旅行で想い出作り出来る彼女に対する嫉妬もあるかもしれないが、どうにも量子は蘭に対していい印象を抱けなかった。
自分は何一つせず権利だけを受け取ろうとしているような気がするからだ。
(親しければ親しいほど、告白して玉砕した場合に失うものも大きくなるから気持ち分からなくもないけど。)
しかしそれは幼馴染から恋人になるための通過儀礼みたいなものである。
それをする勇気も持たず、相手からの告白を待つだけというのは相手次第の恋愛ということだ。
好みもあるから批判するつもりはないが自分はそんなのごめんである。
可憐な容姿ながら、言うべきことははっきり言う量子にとっては理解不能な子として蘭は分類された。
(委員会終わったら、スーパー行って食事作って・・・。英雄の好きな肉じゃがにしようかな、守君の好きなカレーにしようかな。うーん。)
具材被っているから、両方作ってタッパーに保存しておくのもいいかもと考える。
幼馴染で恋人の彼の為に。
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後書
夢の絆①~幼い恋の終焉~の後に起こった『新一の彼女編』量子ちゃん追憶編こと『赤木量子と初めて名乗った日』でちらりと出てきた誘拐事件後の量子と園子の対話です。
量子と英雄が幼馴染というのは私の妄想設定です。
ただ全く可能性がないわけでもなくて・・・英雄も確か米花高校出身なんですよね。
となると家から高校まで通える距離 弟を頼める間柄って昔からの顔なじみって可能性あるんじゃない??って思ったんです。
それで三歳差があって中学・高校は一緒に通えず兄妹扱いされたけど、恋人になれた彼らと同じ年で両想い扱いされたけど交際に至らなかったヒロインと新一って対比になって面白いかなと。
後、物語内にも出しましたが恵まれているとそれが貴重とかかけがえないとかって分からないんじゃないかなって思って・・これは蘭というより、人間の性ですね。
例えば・・・水に恵まれている日本でつい出しっぱなしにしてしまうけど、本気で水不足の地域にいったら一滴でも零さないように生活すると思うんですよね。
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