街の探偵屋さん
夢の絆シリーズ(コナン小説で逆行物 新志小説)の番外となります。服部のその後となります。
時系列では出会いなおし の更に後の話です。
夢の絆 本編 番外編をすべてお読みになってからの方がより理解が深まると存じます。
下記注意書きをお読みになられてから、ご覧下さい。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロイン派 新蘭派はご遠慮願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
右か左か-!?
服部の直感は右と告げる。だが-!?
「右へ行け!俺は左へ行く!」
そう叫ぶ工藤の声に押されるように服部は全速力で駆けた。
時は少し遡る。
大阪で連続殺人事件が起き、年1回の恒例行事と化したサイン会で来日していた工藤と30年ぶりに一緒に捜査することになった。
今までコツコツ努力したお蔭で大阪府警には既に信頼を得ており、工藤に至っては言うまでもない。
大阪は服部のホームグラウンド。
推理力は工藤新一に及ばないものの、今まで大阪で探偵をしてきた自負、経験、人脈がある。
それらをフル活用していて、新一と対等な協力関係を築けていて久々に高揚していた。
勢いのまま次の犯行現場を特定したが、寸でのところで逃げられ、とある十字路の左右どちらかに逃げられてしまい冒頭に戻る。
右か左か-!?
服部の直感は右と告げる。だが-。
「右へ行け!俺は左へ行く!」
そう叫ぶ工藤の声に押されるように服部は全速力で駆けた。
何十回も通った道だが微かな引っ掛かりを感じて引き返す。
(あの植込みはあんなやったかいな。あそこの茂じいさんは趣味が園芸で毎日刈り込むしとるくらいや。あんな不格好になるわけない。ちゅうことは…あそこや!)
植込みの傍に、丁度一人隠れられる妙なスペースがあり、血のついた登山ナイフを持った犯人はそこで確保となった。
「観念しいや!」
「くそっ!」
事後処理がすべて終わり、ふと服部が思ったことは”工藤は何で俺に右行け言うたんやろ?”ということであった。
あの時、直感で右と思ったことは間違いではない。
一瞬の躊躇いは工藤と二人で一緒に右行くか、二人で手分けして左右に行くかと咄嗟に相棒に目を向けたからだ。
(せやけど工藤なら俺と同じ結論になりそうやけどな。)
慣れ親しんだ街だからこそ自分は彼以上の何かが見えてのだろうか-?と僅かでも上に立てたような気がしていた。
だが工藤が誰かに電話しているのを見て好奇心から近づき聞いてみる。
「何で服部に右に行かせたかって?」
「だってそちらの方が本命だろう?なぜなら…」
そして彼は自身が直感とでしか分からなかった”右”への根拠を理路整然と電話相手に述べた。
「ああ、別に手柄を譲ったとかじゃない。ここは大阪。
ヒロキ君がいかにリアルタイムで地図を送ってくれても日頃からその街で生活している服部の方が有利。
事件解決に一番効率の良い方法を選んだだけさ。」
「いやいつも君が送ってくれている情報は本当に役立っているし、有難いと思っているよ。じゃあまた今度はニューヨークで。」
(俺が直感としてしか分からなかったものをここまで理論立てて説明出来るやなんて。)
直感というものは脳にあるデータの中から瞬時に必要な光景や異質なものを選ぶものだと服部は思っている。
脳内にあるデータが膨大過ぎる為、それらの根拠を言語化出来ないのが問題なだけで。
(けど工藤はそれすらも説明できるんや。)
(ああ、ホンマに格が違うな。)
負けたと思うと同時に”推理に勝ったも負けたもない”という出会った日の言葉を思い出す。
けどそれでも工藤は俺を信用して任せてくれた。
事件の解決に一番良いと、服部を一番可能性の高い現場に行かせてくれた。
認められた-。
その歓喜が服部を包む。
認めさせるより、認められたい。覆すより覆されたい。
それが自身の望みであることに気付き、叶えられた今、服部から劣等感はなくなっていた。
「なあ工藤。事件解決したし、飲みにいかへんか?」
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後書
いつも素敵小説を頂くエルリア様からのリクエスト『服部のその後』です。
何とか捻りだした彼のその後、エルリア様はじめ皆様に楽しんで頂けますように…!
世界を股にかけて活躍していて世界のシャーロックホームズと呼ばれる新一に服部は羨ましいという想いはありますが
何とか彼自身の心の中で決着をつけたというか自然とこうなりました。
彼は大阪の街では信用される探偵になっていますし、これからも大阪の”街の探偵屋さん”として生きていくことでしょう。
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
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