お伽話のその裏で
原作の告白放置のまま時が過ぎて、蘭は失恋し、新一と志保が明美のお墓参りに訪れているところです。
単独でもお楽しみ頂けますが、『茨姫は棘だらけの寝台で』『異次元イルミネーション』を読んでからの方がより理解しやすいと存じます。『異次元イルミネーション』の次の日の出来事となります。
二作品は、カテゴリ欄のコナン二次小説 ”原作 その後”にございます。
この記事の右上の”原作 その後”をクリックしても飛べます。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロインファンはご遠慮願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
*************
注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
王子様と眠り姫ではない姫が幸せに結ばれたその裏で-。
ひっそりと咲く白百合の花。
それは姫の為に命を懸けた姉に捧げられた鎮魂の花。
*****************************
クリスマスが過ぎ、正月には後少しあるという時期。
閑散としている都内のとある寺に白百合を抱えた凛とした青年と彼に寄り添う美しい女性がいた。
静かに歩み続ける二人はまるで一幅の絵のよう。
宮野家と書かれた墓の前で二人は足を止めた。
「お姉ちゃん…久しぶり。」
「…明美さん。」
組織壊滅した時に一度報告しに墓参りに来て以来だった。
(あの時は赤井さんと博士もいたっけな。)
二人して無言のまま、阿吽の呼吸でお墓を掃除し始める。
何も言わなくともお互い何を考えているか 何をしようとしているが肌でわかるようになっていた。
雪が散る今日は寒く手がかじかむが構わず水を掛け墓石を磨く。
そして新一が白百合を供え、志保が線香をあげた後、故人へと語りかけた。
「明美さん。貴女の大事な志保は俺が幸せにします。」深々と頭を下げる彼。それはまるで結婚の許しを得るかのごとく-。
”ふふふ…志保が幸せならいいわ。頼んだわよ、小さな名探偵さん”
「お姉ちゃん。私…彼と…幸せになるわ。…いいわよね?」愛し愛された輝きに満ちた顔で最愛の妹が笑う。
”志保、いい顔するようになったわね。恋をするって素敵でしょう?幸せになるのよ。”
死者である明美の声は生者である彼らには聞こえない。
けれど明美は嬉しくて仕方なかった。
何故なら彼らは結婚の報告を新一の両親でもなく、志保の親代わりになってくれた博士でもなく、いの一番に自分にしてくれたのを明美は知っているからだ。
幽体である彼女は昨夜のイルミネーション下でのプロポーズを見ていたから。
(あの醒めてた目をした志保が恋をしただけでも嬉しかったのに、結婚!しかも私を看取ってくれた小さな名探偵さんと。)
ジンに殺された時、このまま暗い倉庫街で一人ぼっちで死ぬかと思ったときに駆けつけてくれた彼。
喋ってはダメだと彼は言い手当をしてくれようとした。
(けれどもう手遅れで…。最後の時を独りでいかずに済んで私がどれだけ救われたか分かる?新一君?)
それから志保が心配でずっと傍にいた。
小さくなって灰原哀が同じ運命を背負った江戸川コナンとして生きる彼と巡り会ってほっとした。
(無茶したり喧嘩したりしてハラハラする時もあったけど、貴方と阿笠さんがいてくれるなら大丈夫って思ってた。あの子が送れなかった普通の小学校生活を疑似とは言え送れたようで・・・嬉しかった。)
四十九日が過ぎてもこの世に留まっていたのは、殺されたのが急過ぎて受け入れられなかったからだろうか。
それとも妹が心配でたまらなくて心を残しているからだろうか。
大君との未来を夢見ることを辞められなかっただろうか。
首を捻り考える。
(多分、全部ね。)
”ああ、でも大君のこと以外はもう心残りないわね-。”
それすらも前回の墓参りで彼が本当に自分を想ってくれていたことを感じたから、信じられたから利用されたとしても、もういいと思えてしまった自分は相当お人好しかおめでたいか 惚れたら負けを地でいってるかもしれない。
(でももういいやと思えてしまったの本当なのよね。わざわざ憎もうとするのも何か違う気がするし。)
心が満たされて、何だかぽかぽかして温かいし、ふわふわする。
明美は自分の身体から光が発しているのを感じた。
(ああ、もしかして…これが成仏ってやつ?)
”もしも産まれ変われるなら…二人の近くがいいなぁ”
あの二人の子供なら、頭脳明晰、容姿端麗 愛情たっぷり間違いなしだろう。
そんなことを想像しふわりと微笑む。
(それは神様と運次第かなぁ。でも運が自分の都合で遣えるならここがいいわ。)
最後の最後に最愛の妹とその未来の伴侶たる彼の姿を憶えておこうと目を凝らした。
幸せそうにお互いを微笑み、自分を想ってくれている彼らの姿をー。
両親にも話したい。志保は幸せになったわよって。
(だから良く見ておかなくっちゃ。…忘れない。)
”またね 志保 新一君。”
いつかまた会える日を夢見て-。
彼らは幸せに暮らしましたと終わるお伽話のその裏で-静かに散った白百合の花。
美しい美しい光に包まれて最後の花びらが舞ったその姿を、寺の住職だけが手を合わせ静かに見送っていた-。
*****************************
後書 2020/10/17企画した22万hit企画にて「22,000」カウンターを見事ゲットされたfin様のリクエスト。
原作その後シリーズ 新志で明美さんの墓参り です。
小五郎編で大苦戦していた割に早くできました(笑)
fin様 リクエストありがとうございました。(*- -)(*_ _)ペコリ
少し短いですがお収め下さいませ。お気に召して頂けたら幸いです。
作品内容としては幽霊明美さんが成仏という作者も思いも寄らぬ展開になりましたw
心残りがなくなった為こうなりました。新志の子供として転生出来るかは神のみぞ知る です。
そしてどうでもいい裏話ですが、この菩提寺の住職は霊感強く明美さんを目で見送ったのは彼一人です。
書きながら思ったこと…蘭ってよく「新一が帰ってこない私って可哀想」って悲劇ヒロイン面してるけど、ジンに殺された明美さんや組織に姉を殺されて且つ自分も狙われている志保さんの方がずっと悲劇要素強いよね、です。
ただそう思った割には、私の作品にしては、珍しく蘭が出ませんでした( ´艸`)静かな美しさをたたえた情景にしたかったもので。
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
単独でもお楽しみ頂けますが、『茨姫は棘だらけの寝台で』『異次元イルミネーション』を読んでからの方がより理解しやすいと存じます。『異次元イルミネーション』の次の日の出来事となります。
二作品は、カテゴリ欄のコナン二次小説 ”原作 その後”にございます。
この記事の右上の”原作 その後”をクリックしても飛べます。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロインファンはご遠慮願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
王子様と眠り姫ではない姫が幸せに結ばれたその裏で-。
ひっそりと咲く白百合の花。
それは姫の為に命を懸けた姉に捧げられた鎮魂の花。
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クリスマスが過ぎ、正月には後少しあるという時期。
閑散としている都内のとある寺に白百合を抱えた凛とした青年と彼に寄り添う美しい女性がいた。
静かに歩み続ける二人はまるで一幅の絵のよう。
宮野家と書かれた墓の前で二人は足を止めた。
「お姉ちゃん…久しぶり。」
「…明美さん。」
組織壊滅した時に一度報告しに墓参りに来て以来だった。
(あの時は赤井さんと博士もいたっけな。)
二人して無言のまま、阿吽の呼吸でお墓を掃除し始める。
何も言わなくともお互い何を考えているか 何をしようとしているが肌でわかるようになっていた。
雪が散る今日は寒く手がかじかむが構わず水を掛け墓石を磨く。
そして新一が白百合を供え、志保が線香をあげた後、故人へと語りかけた。
「明美さん。貴女の大事な志保は俺が幸せにします。」深々と頭を下げる彼。それはまるで結婚の許しを得るかのごとく-。
”ふふふ…志保が幸せならいいわ。頼んだわよ、小さな名探偵さん”
「お姉ちゃん。私…彼と…幸せになるわ。…いいわよね?」愛し愛された輝きに満ちた顔で最愛の妹が笑う。
”志保、いい顔するようになったわね。恋をするって素敵でしょう?幸せになるのよ。”
死者である明美の声は生者である彼らには聞こえない。
けれど明美は嬉しくて仕方なかった。
何故なら彼らは結婚の報告を新一の両親でもなく、志保の親代わりになってくれた博士でもなく、いの一番に自分にしてくれたのを明美は知っているからだ。
幽体である彼女は昨夜のイルミネーション下でのプロポーズを見ていたから。
(あの醒めてた目をした志保が恋をしただけでも嬉しかったのに、結婚!しかも私を看取ってくれた小さな名探偵さんと。)
ジンに殺された時、このまま暗い倉庫街で一人ぼっちで死ぬかと思ったときに駆けつけてくれた彼。
喋ってはダメだと彼は言い手当をしてくれようとした。
(けれどもう手遅れで…。最後の時を独りでいかずに済んで私がどれだけ救われたか分かる?新一君?)
それから志保が心配でずっと傍にいた。
小さくなって灰原哀が同じ運命を背負った江戸川コナンとして生きる彼と巡り会ってほっとした。
(無茶したり喧嘩したりしてハラハラする時もあったけど、貴方と阿笠さんがいてくれるなら大丈夫って思ってた。あの子が送れなかった普通の小学校生活を疑似とは言え送れたようで・・・嬉しかった。)
四十九日が過ぎてもこの世に留まっていたのは、殺されたのが急過ぎて受け入れられなかったからだろうか。
それとも妹が心配でたまらなくて心を残しているからだろうか。
大君との未来を夢見ることを辞められなかっただろうか。
首を捻り考える。
(多分、全部ね。)
”ああ、でも大君のこと以外はもう心残りないわね-。”
それすらも前回の墓参りで彼が本当に自分を想ってくれていたことを感じたから、信じられたから利用されたとしても、もういいと思えてしまった自分は相当お人好しかおめでたいか 惚れたら負けを地でいってるかもしれない。
(でももういいやと思えてしまったの本当なのよね。わざわざ憎もうとするのも何か違う気がするし。)
心が満たされて、何だかぽかぽかして温かいし、ふわふわする。
明美は自分の身体から光が発しているのを感じた。
(ああ、もしかして…これが成仏ってやつ?)
”もしも産まれ変われるなら…二人の近くがいいなぁ”
あの二人の子供なら、頭脳明晰、容姿端麗 愛情たっぷり間違いなしだろう。
そんなことを想像しふわりと微笑む。
(それは神様と運次第かなぁ。でも運が自分の都合で遣えるならここがいいわ。)
最後の最後に最愛の妹とその未来の伴侶たる彼の姿を憶えておこうと目を凝らした。
幸せそうにお互いを微笑み、自分を想ってくれている彼らの姿をー。
両親にも話したい。志保は幸せになったわよって。
(だから良く見ておかなくっちゃ。…忘れない。)
”またね 志保 新一君。”
いつかまた会える日を夢見て-。
彼らは幸せに暮らしましたと終わるお伽話のその裏で-静かに散った白百合の花。
美しい美しい光に包まれて最後の花びらが舞ったその姿を、寺の住職だけが手を合わせ静かに見送っていた-。
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後書 2020/10/17企画した22万hit企画にて「22,000」カウンターを見事ゲットされたfin様のリクエスト。
原作その後シリーズ 新志で明美さんの墓参り です。
小五郎編で大苦戦していた割に早くできました(笑)
fin様 リクエストありがとうございました。(*- -)(*_ _)ペコリ
少し短いですがお収め下さいませ。お気に召して頂けたら幸いです。
作品内容としては幽霊明美さんが成仏という作者も思いも寄らぬ展開になりましたw
心残りがなくなった為こうなりました。新志の子供として転生出来るかは神のみぞ知る です。
そしてどうでもいい裏話ですが、この菩提寺の住職は霊感強く明美さんを目で見送ったのは彼一人です。
書きながら思ったこと…蘭ってよく「新一が帰ってこない私って可哀想」って悲劇ヒロイン面してるけど、ジンに殺された明美さんや組織に姉を殺されて且つ自分も狙われている志保さんの方がずっと悲劇要素強いよね、です。
ただそう思った割には、私の作品にしては、珍しく蘭が出ませんでした( ´艸`)静かな美しさをたたえた情景にしたかったもので。
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))