毛利蘭の見果てぬ夢
夢の絆シリーズ(コナン小説で逆行物 新志小説)の番外の蘭編となります。
本編をお読みになってからの方がより理解が深まると存じます。
5/29にアップした『鈴木園子の野望』の蘭側の話となります。
下記注意書きをお読みになられてから、ご覧下さい。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロイン派 新蘭派はご遠慮願います。
後、本作品に出てきませんが、服部君にも優しくありませんのでご注意願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
見果てぬ夢 という言葉がある。
意味は最後まで見終わらない夢、 心残りなこと、または現実不可能なことの例えである。
『園子!』
『もうまたすぐ見つかっちゃった!新一君が鬼だとかくれんぼも鬼ごっこもすぐ終わっちゃってつまんない!』
『そんなこと言われても。』
『じゃあ園子が今度鬼やればいいじゃない。』
『そうすると今度は全然捕まえられないじゃない!・・・蘭は捕まるのすら嬉しそうだからいいけどさ。』
最後は蘭のみに聞こえるよう小声で呟く園子。
『え?えええ?(〃´∪`〃)ゞ』
『ん?蘭がそんなに驚くこと言ったか?』首を捻る新一。
小さい頃から運動神経が良く推理力もあった新一は鬼ごっこをやれば相手をすぐ捕まえ、かくれんぼをやればすぐ見つけていた。
園子はそれが面白くないという顔をしていたが、私は捕まるのも見つかるのも嬉しくて仕方なかった。
好奇心旺盛な新一がその時だけは私を 私だけを見てくれていたら-。
(まだ恋、ではなかったと思う。自分をみてくれている人がいる という安心感かな…。)
あの頃両親はらぶらぶでそれは一人娘には喜ばしかったけれど、よく二人の世界を作ったり、喧嘩の際には置いていかれた気持ちになっていたことは否めない。
「島ってね。幼馴染で兄妹って感じなの。」
「そうそう。近すぎて全然恋とかにならない(笑)」
「そうなんだ…。」
子供達が遊ぶ姿を見守りながら、ママ友達と縁側でお茶しながらの会話をしていた。
蘭があの子たちこれからお互いに恋とかするのかなと何気に呟いたところ、ないないと言われた会話がこれである。
(そっか…。近すぎるとそうなんだ。)
ツキンと僅かに刺さる胸の痛みに知らないふりをして
「これ新作のレモンタルト。前島さんに頂いたレモンがすごい香りがよかったから。」と程よく冷やしたレモンタルトを出して話題転換を試みる。
「わ~美味しそう!毛利さんこういうの得意ね。」
「本当にいい香り。私はハチミツ漬けにしたのよ。長男が部活動行く時、いつも持って行ってる。」
「檸檬を蜂蜜漬けにして水で薄めるといいわよね。美味しいし、保つし我が家でも作ったわ。」
「うわ。あげた甲斐があった。今日は蜜柑持ってきたのよ!」
実家が果樹園である彼女はいつも余った果物をお茶請けにともってきてくれる。
「わ~いつも悪いわねえ。」「ありがとうございます。」「美味しそうですね。いつもありがとうございます。」
皆口々にお礼を言う。
思い思いに喋り、話が3回くらい変わった時に「そういえばさっきの話、恋はないけどずっと家族みたいな絆はあるよ。」
唐突に話が切り替わるのは主婦ならではか。
「え?」
「だからさっきの毛利さんの恋云々。」
「あ。」
「あ~確かにね。会うと途端にその時の自分に逆戻りするよね。」
「そうそう。相手によっては親にすら言えないことも話せるしね。」
(家族みたいな絆…。親にすら話せないことを言える相手。)
『次は蘭が鬼ね。』
いなくなる新一と園子。
『どこ?』
一生懸命二人を探した過去の情景が甦る-。
無邪気で楽しかった思い出。
あの頃のようにいつか いつか三人で会いたい-。
それが途轍もなく難しいことは蘭自身がよくわかっていた。
人は通り過ぎた自身の過去はよく視える。
父である小五郎の献身のお陰で前科こそついていないが、公安や世界警察組織の人々からすればそれに準ずる者扱いだろう。
そうでなくとも、水商売した時代にホストに嵌った挙句借金。その後は知らなかったとはいえ既婚者と不倫し出産。
簡単に羅列しただけでも、社会的地位にある人はお近づきになりたく要素満載だ。
こっそりなら会えるかもしれないが・・・いや今は情報合戦が激しい上にSNSが発達している。
一人ずつならともかく世界的に有名な二人同時だと・・・多分この夢は叶わない-。
病院でのことはお見舞いという形をとった例外中の例外だろう。
(あんなに会いたいって思ってたのに、遠ざかるような真似ばかりして私って本当に馬鹿だなあ。)
(でも夢見るのだけは自由だよね。)
子育てが終わり、シングルマザーの役目を終えたころ、財閥当主兼経営者という肩書を外した園子と有名な探偵兼売れっ子小説家という看板を外した新一とこうやってのんびり縁先でお茶したい、と蘭はささやかな夢を描いていた。
同時期、園子が同じことを30年後の未来として考えていたとは露とも知らずに。
二人の違いは園子が、時と新一とその周辺が許せばと現実的に考えていたのに対し、蘭はどこか無理だと自覚し、空想的なところだった点である。
毛利蘭の見果てぬ夢-。
それが叶うかは本人の心意気と3人が長生き出来るかの運次第-。
『新一と園子、どこ?』
蘭の脳裏で過去の蘭自身が二人を探し続けていた-。
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後書 今回のお話は『鈴木園子の野望』の感想コメント エルリア様からの鋭いご指摘『ホストに狂い、本人知らなかったとはいえ不倫をして、私生児出産』に世界的有名人二人と遊ぶのは難しいかも・・・?と言われ、このお話が降りてきました。
エルリア様 いつもいつもネタありがとうございます(*^▽^*)
これで主要人物の名前入り題名は書き尽くしましたv( ̄Д ̄)v イエイ
読んで下さった皆様へ
お楽しみ頂けたら幸いです。
感想・拍手頂けたらもっと感謝感激でございます(((o(*゚▽゚*)o))))
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