鈴木園子の野望
夢の絆シリーズ(コナン小説で逆行物 新志小説)の番外の園子編となります。
本編をお読みになってからの方がより理解が深まると存じます。
5/4にアップした『緋色の弾丸 舞台挨拶』の園子側の話となります。
下記注意書きをお読みになられてから、ご覧下さい。
***注意書き***
本シリーズ作品はRANちゃんには優しくありませんので、ヒロイン派 新蘭派はご遠慮願います。
後、本作品に出てきませんが、服部君にも優しくありませんのでご注意願います。
この注意書きを無視して読んでからの苦情や誹謗中傷のコメントは受け付けておりません。
このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。
私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。
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注意書き読まれましたね?
ではどうぞW
~幼馴染三人でまた以前みたいに遊ぶこと~
それが私の”野望”なの と世界を股に掛けて活躍する鈴木園子は悪戯っぽく笑った。
私が園子様に第一秘書としてお仕えしてから早20年以上が経過していた。
大学を卒業し2年の修行期間を終え後継者候補として子会社とはいえ、重役に任命された彼女に補佐としてつけられたのが私だった。同性で10歳年上、飛びぬけた事務処理能力と正反対なクールな性格がぴったりだと会長の奥様が強く主張したらしい。
らしいというのは私も人伝てに聞いたからである。
最初はお嬢様の遊びに付き合うなど御免だと反発していた私だったが、園子様は思っていたより真面目でそして商才があった。
ブライダル部門で世界の名探偵 工藤新一氏の挙式をモデルにして、海外・国内共に女性憧れの挙式プランを練り上げ成功に導いた。
それに付随してイベント業にはマジック大会の賞を総なめにした黒羽快斗を起用したり、フサエブランドをウエディング部門だけでなく、アクセサリー・鞄にも販路を見出して軌道に乗せてみせた。
諸々の実績を背景に、結局鈴木家当主の座に就いた時は実に感慨深かったことを今でもありありと思い出せる。
そして変わりゆく世界情勢を舵取りして経営している園子様に今後の展望をお聞きしたところ、返ってきたのが、10年後の事業計画と上記の言葉で私は言葉を失ってしまった。
工藤新一氏はいい。園子様の昔からの幼馴染で世界的有名な探偵であるし、知名度も世間の信用も高い。
(だが毛利蘭のほうは・・・・。いくら改心したとは言っても、それが信用できるとは限らない。今回の舞台挨拶のチケットをねだられなかったことを一安心していたが・・・それは当たり前のこと。
また世間や公安に受け入れられるかどうか。特にマスコミが怖い。)
私は亡き会長に秘書に任命された際、毛利蘭のやらかしたことを聞かされている。
要注意人物で万が一、園子様に会いにこようものなら、どんな手を使っても引き離してくれと頼まれたし、鈴木邸の執事は毛利蘭からの封書はすべて受け取り拒否しているのも知っていた。
無表情を保ちながらも、心の中で苦言を呈そうか考える。
だが空気で察したのだろう。
「分かっているわ。瀬戸が心配してくれていることは。」
「勿論ずっと先。蘭が自分の意志で誰にも寄りかからないようになる必要があるし。
それに時間。次代が今の私くらいになる頃。逆に私の”鈴木園子”の名前がもう世に響かない頃。新一君もね。」
謳うような調子で園子様は続ける。
次代は園子様のご子息様、姪御様、遠縁の男性 三人の候補がいる。
「と仰いますと・・・あと二十年 いえ、もっと?」
「そうねえ。離れていたと同じくらい必要かも・・・三十年後 かもしれないわね。」
遠い目をする園子様。その眼が見つめているのは取り戻せない過去だろうか。それとも遠い遠い未来だろうか。
ふふっと笑って続ける。
「そうしたら蘭も私もおばあちゃん。新一君もおじいちゃん。」
「介護施設に勤める知人に聞いたのだけれど、人って最後は子どものころに戻っていくのですって。」
「だから、だからね。幼馴染三人で前みたいに無邪気に遊ぶのが私の野望なのよ。」
秘書としては反対意見を言うべきなのだけれど、そのささやかな望みと透明な笑みに私は何も言えなくなってしまった。
(その気になれば世界中の富を手に出来る方が・・・。)
(毛利蘭、今度こそ園子様の誠意を裏切ったら許さない。)
(私にこんなこと思う 言う資格はないかもしれない。でも許さない。園子様の友人に相応しい人になりなさい。それ以外は認めない。)
同時に園子の友人に相応しい人であって欲しいという願望も混じる。
「園子様の”野望”叶うといいですね。」
(惜しむらくは、私がそれを見届けられる可能性が低いこと。定年まであと10年くらいだもの。)
「瀬戸・・・!ありがとう!」
(ただこの華のような笑顔が曇りませんように。)
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後書 今回のお話は歴史You tubeでイングランド女王アンを側で支え続けた夫ジョージが”夫婦で静かに暮らす それが私の野心だった”という手紙を友人に書いていたことに感銘を受けて書きました。
女王の夫という権力の頂点の側にいるのに 否 いるからこそ些細なことが”野心”になる。
現代で言うなら天皇ご一家の方や政治家、有名人らが「マスコミを気にせず、気軽に買い食いしてみたい」「気の抜けた格好でぼーとしたい」(出来ない)と相通じるものを感じます。一般人にはフツーに出来る事が”夢”になるんですよね。
それと一緒で園子にとっては幼馴染3人で気兼ねなく会えるというのは、蘭が自制心を持ち大丈夫と思われるほど改心するだけでは足りなくて、同時に園子自身・新一の影響力も少なくなっているであろう老後の夢 野望なのではないか と思えたのです。
後もう一つ、夢の絆シリーズは、人名を題名にしているのですが、園子と蘭だけ使っていなかったのです(;^ω^)
それで使用してみました。蘭編も考えたのですが難しくてx2 園子編も苦戦しましたが秘書視点にしたら書きやすくなりましたv( ̄Д ̄)v イエイ
読んで下さった皆様へ
お楽しみ頂けたら幸いです。
感想・拍手頂けたらもっと感謝感激でございます(((o(*゚▽゚*)o))))
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