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逃げた海水魚が住んだ海の色~エルリア様 ご提供~


夢の絆 番外編『淡水で生きられない海水魚』の英理のその後のお話をエルリア様が書いて下さいました~頂きましたヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪


***注意書き***
ヒロインには優しくありません。厳しめですので、ranちゃん派の方は此処で周り右願います。
尚、他人様の作品であるという事で無断転載や引用、誹謗中傷は御止め願います。
また同じ理由で予告なく、掲載を取り下げるやもしれない事予め通知致します。
**************




RANちゃん派の方は此処で周り右願います。
注意書き読みましたね??

それではどうぞ(^_-)-☆


英理は送られてきた「報告書」を読んで、小さく息を吐いた。
小五郎との離婚は、英理にとっては人生最大の挫折と言ってよかった。大元の原因は自分にあると解っている。
それでも、どうしても、「蘭があんな事件を起こさなければ」という思いは消しきれなかった。蘭に、その決して言ってはならない本音をぶちまけてしまうか解らない恐怖があったからこそ、これ以上家族としての情が、自分自身が壊れてしまう前に島を出る事にしたのだ。
この気持ちを、小五郎は解ってはくれた。
だが、彼は蘭を取った。
それを責める気持ち―――全くなかったと言えば嘘になるが―――英理は蓋をした。
小五郎の選択の方が、寧ろ世間には受け入れられるだろう。
蘭にも縋られたが、あの閉鎖的な島で息が詰まるような生活を続けるのは英理には苦行でしかなかった。
それでもと居続ければ、何時か蘭に八つ当たりしてしまう可能性が高かったから振り切った。
例え蘭に恨まれても、許されなくても、『あんたのせいで!』という醜い気持ちをぶつけられるよりはマシだろうと思ったのだ。
それを我慢出来ないのかと責めらるのかもしれないが、それこそ赤の他人にどうこう言われる筋合いはない、とも思う。
その後、蘭に手紙を送ったがとうとう返事は来なかった。
この事実は「もしかしたら」と覚悟はしていたものの、英理を打ちのめした。
だが、だからと言って今更島に戻れはしない。
戻った所で同じことの繰り返しにしかならないし、島の人間に「毛利家」がどう思われるのかも怖かった。
島で暮らす二人に悪評が立つのは避けなければならなかった。
英理は英理なりに、二人を守りたかったのだ。
それが他の人間にどう思われたとしても。
東都に戻って、英理はとある中小企業の事務職に就いた。
鈴木財閥の影響が殆どない…いわばそれだけ小さな会社なのだが、贅沢は言っていられなかった。
ある程度慣れた頃に、英理は会社の改革をしようとした。
大企業の顧問弁護士も経験してきた英理から見れば、この会社は無駄が多すぎた。規律が緩い、とも言える。
この会社が設立されて約30年。
起業した社長は何処か阿笠を思い出させるお人好しさで、取引先は勿論、社員からさえ嘗められているような節があった。
代替わりを検討し始めていた社長は、次の社長の負担が減るのならばと英理が作成した資料を読み込んだ。
だが急激な変革は反感を買う。
社長は代替わりの時期を先延ばしにして、少しずつ改革を進めて行った。実際英理が進言した事は、社長自身も「どうにかしなければ」と思いつつ、既に出来上がってしまっていた社風と自身の性格故にどうすればいいのか解らずにいた事だったから、ある意味、渡りに船だったのだ。
そうでなければ、この時点ではあくまで新参者の域を出ていなかった英理の言葉など聞き入れられず、逆に解雇の危険性すらあっただろう。
そうして実際に代替わりする頃には、会社の業績は上向き始めた。
徹底的に無駄を省いた事。
そして言葉での戦いは英理の本業だ。裁判とは違うが、取引先との交渉術の基本を社長に指導して、不利な条件の取引をかなり減らした。ゼロに出来なかったのは、時には引く事も必要だから仕方のない事だろう。
会社の雰囲気が変わった事に不満を持つ者もいたが、結果として給料が上がった為に英理は功労者として受け入れられた。
英理の選択は、上手くいったと言えるだろう。
ただ―――それを分かち合う人がいない寂しさはどうしようもなかった。
改革の途中で小五郎から一度だけ連絡がきた。
それは蘭が島を飛び出し、東都でホステスになったというものだった。
「ホステス!?」
あの潔癖症で、良くも悪くも純粋な子どものような蘭が?
“…でも”
夜の世界というのは考え物だが、短い期間とはいえ同居して分かったのは蘭の外面の良さだった。
内弁慶で家族には傍若無人だが、他人には驚く程人当たりがいいのだ。英理がイラついた一々人のやる事をつつくあの態度も、「気が利く」と変換されない事もない。
ありがちな誘惑の罠にさえ引っかからなければ案外向いているかもしれない。
とはいえ、やはり危険な世界である事に違いはない。
万が一にも、自分の弁護士としての知識や経験が必要になる事態になった時の為にと、英理は二年ごとに蘭の素行調査を依頼していた。
そうして暫くは英理が考えたように上手くやっていたようだったが、あるときホストに入れあげるようになってしまった。
そのホストの写真を見た時、英理は愕然とした。
「――――新一君?」
実際は彼よりもかなり劣るが、高校時代の彼を彷彿させるような男だったのだ。
“ああ…”
英理は思わずその写真を握り締めた。
こんなにも娘は新一に執着していたのか。
いや、関係をバッサリと一方的に切られてしまったから、余計になのか。
「御免なさい、蘭…」
この時、英理は初めて心の底から蘭から新一の思い出の写真を奪った事を謝った。
新一はあの後、世界的探偵として名を成していた。
自分達や両親と同じように二十歳で結婚し、その相手は表には出て来ていないが才色兼備を絵に描いたような美女だという。
娘との余りの差に涙も出ない。
報告書には借金も相当額に上っている、とある。
これこそ自分の出番だと思うのだが―――どうやって連絡をつければいいだろう。
勝手に素行調査などをしていたと知られたら、幾ら心配しての事だとは言っても更に蘭の怒りを買うだろう事は解る。
その算段を考えあぐねている内に、今回は継続で頼んだ調査で蘭が島に帰ったと知った。
借金も…どうやってだか小五郎が肩代わりをする事で何とかなったらしい。
「あなた…蘭…」
今度こそ、あの小さな島で二人が心穏やかに暮らせる事を祈る。
自分とは違い、二人はあの島に馴染んでいたからこれからは多分大丈夫だろう。
英理は明日の会議の資料を確かめると、マンションを出た。
最近付き合いだした男性がいる。
もうかなりくたびれたおばさんだというのに、「あなたがいい」と言う奇特な男だ。10年前に病気の妻を見とり、その後シングルファザーとして二人の子どもを育てたという彼は、ある意味小五郎に似ているとも言える。
違うのは妻と死別している点か。
そんな彼を欺くような事はしたくなくて、英理は自分の過去を包み隠さず話した。
それでも彼は「そんな事を正直に話してくれる貴女は信用できる」と言ってくれた。
こんな自分でも幸せを手にして許されるだろうか。
そんな葛藤を抱えながら、英理は初夏の日差しの中へ歩を進めた。

***************************
後書

エルリア様リクエストの夢の絆 番外編 島に来て去っていった英理編の『淡水で生きられない海水魚』の英理のその後のお話を何とリクエストご本人エルリア様が書いて下さいました~。小説の交換やり取りみたいで楽しいですv( ̄Д ̄)v イエイ
最近支部で「小五郎より英理の方がまともな親」という目から鱗な論理展開のお話を読んで、纏まったお話とのことです。
そうそう万里様 こちらご覧になられましたらご一報くださるとエルリア様が喜ばれます。お気にされていたので。
雪月花桜は更に狂喜乱舞します(笑)

<感想>
すっごいリアルあるあるなその後の英理 ですね。会社の改革に着手する という。
自分も娘も両方守る選択だけれども、子供至上主義な日本では非難の対象になることも分かっているので、誰に対しても沈黙を選んであろう英理が目に見えるよう…。
蘭のあの世話焼きや外面の良さがホステスに向いているかも というのは同感です。私もひそかに思ってました。
ホストの件で、蘭に心から謝ったのは良かった~と思います(・∀・)ウン!!
交際については、英理も相手に惹かれてはいるものの、迷いがあるというエルリア様のお言葉・・・。
続きが気になりますね(笑)
自分だけ幸せになるわけにはいかないと交際こそするけれど、再婚はしない英理の贖罪話か。英理のお相手視点の話もいいかも。父親一人だと大変だねって言ってもらえるのに母一人だと大変と言いつつもどこか当たり前な日本の考えに疑問持った方とかだと書きやすそう。
逆に過去をふっきって再婚して蘭が知ったΣ(゚д゚lll)ガーン (鬼)話か小五郎がしょげる話か。
女は一度終わると次行く人が多いですからね。男性の方が昔の女性に夢を見ているというか忘れられないというか・・・
なんか妄想が湧いておりますwwどなたか書いてみませんか!?(他力本願すぎる)
エルリア様 浮かんだら書いてもよろしいでしょうか??
また小説掲載許可頂きまして、感謝ですm(__)m 



最後に皆様へ コメントや拍手頂けるとゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィになります。宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))です。
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雪月花桜

Author:雪月花桜
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