長江落日賦 田中芳樹著
引き続き田中芳樹著の中華歴史小説です。
内容(「BOOK」データベースより)
思わず立ちすくんだ子鵬は、侯景の意図を察して慄然とした。侯景が船底に穴をうがち、そこから水中に逃れようとしていたのである。「おれは漢帝だ。陛下と呼ばぬか!」南北両朝から叛逆者とされる侯景の遺した、それが最期の言葉だった…(表題作より)。長江の流れの如く悠久な中国の歴史。その檜舞台に立つことのかなわなかった人物たちに命を吹き込んだ珠玉の歴史ロマン。
内容:黒竜の城.天山の舞姫.長安妖月記.白日、斜めなり.長江落日賦

以下 ネタバレありの感想です。
未読の方 ネタバレ厳禁の方はリターン下さい。
よろしいですね??
それではどうぞ。
全体を通して一つの雰囲気を纏っています。
まさに「落日」、滅びの切なさ 哀れさ 一種の美しさが胸を打つ。
第1話 『黒竜の城』
あらすじ:明の永楽帝の命を受け、東北辺境の地を督撫すべく派遣された亦失哈。
凍結した黒竜江を越えた彼は未知の城を見出し、そこに住まう不老の妖女に遭遇し対決する。
・・・そこはかとなく、不気味・・・。でもやっぱり読ませる力は流石!
驚いたのが亦失哈が宦官だったこと!
いや、ヒントはあったんですよ妖女の術にかからなかったり、生贄になった部下の遺体に「抜き取られる精があるのはうらやましいことだ」とか言ったり、偶然股間を触られただけで激昂しちゃったりと・・・でも全然気付かなかった。
推理小説の叙述トリックみたいなやられた感がありました・・・・!ただ出世の為に自らというあたりで、すごい出世欲やなと思って引いた。今までがなまじ正統派ヒーローっぽかったので余計かも。
永楽帝の時代は鄭和とか宦官が活躍した時代でしたがこの方は知らず・・こういうメジャーではない方を取り上げるのっていいな。
第2話 『天山の舞姫』
あらすじ:唐の玄宗皇帝の御世、サラセン帝国の動向を探るべく派遣された李炎。
彼は故郷長安を遠く離れたフェルガナの地で、超常の力を持つ妖艶な舞姫・ゼノビアと出会って-。
・・・サラセン帝国って初耳。国も登場人物も馴染みがなく、どうも頭に入って来ません。
ゼノビアの不思議な能力と悲恋が物語を彩る。
第3話 『長安妖月記』
あらすじ:唐代初期、皇帝李世民が老境にあって人格が一変し、未曾有の侵略戦争を企むようになってしまう。
兵部尚書・李靖は、皇帝の豹変の裏に予言に示された方師の暗躍がある事を知り、二人の武将を召集し、事に当たる。
・・・身体の乗っ取り ときましたか~って思いましたがそれよりも司天監(天文学・暦学・占星の国家的権威)の李順風がとツボりました!!予言の書とか唐王朝がどれだけ続くか李の絵で示す(You tubeで知ったエピソードキタ━(゚∀゚)━!)とかめっちゃ好み。
この人の妻とか部下視点での小説書いたら面白いだろうな。
第4話 『白日、斜めなり』
あらすじ:三国時代中期、魏より蜀に亡命し客将として迎えられた夏侯覇の話。
・・・夏侯家と張飛が親戚とというのは、意外かもしれないが『孔明のヨメ』で知っていたのできたきた と思った(笑)
しかし劉禅の皇后が張飛の娘だとは知らなくてびっくり。
姪が皇后なので司馬一族が支配しつつある魏から亡命した数奇な人生の彼の視点から視た蜀。
蜀が史官職( 歴史を編集し、 文書 ・記録を作成する職)がない文化後進国とは思わず驚きました。智謀で知られた孔明がいたのに・・・。
劉禅が悪い意味で人の良さを発揮してしまうあたり、凡庸な人が国の頂点になってしまったがゆえに逆に八方美人 優柔不断になってしまった感がある。しかし劉禅を笑えない。私も平凡な人だから、同じ立場なら現状維持を選んでしまうかも・・・。
日本人には結構人気のある劉備のことを無能者と断じたのには驚いた。そう書きつつも 人を統率する器量だけは豊かな資質があると書いてあるのも興味深い。
第5話 『長江落日賦』
南北朝時代後期、一族を煮殺され魏より梁に亡命した侯景は、叛乱により武帝を殺害し皇位を簒奪。
世に言う侯景の乱である。
いまや『宇宙大将軍』を自称するまでとなった侯景討伐を目論む羊侃(ようがん)の三男:子鵬(字)の話。
・・・調べてみたら彼、実在の人物だった!(いや歴史小説だから当たり前)
いや~この乱と彼の短い生涯も映画や漫画にし甲斐あるわ-。
小説に書いてみたい 二番煎じだけど。
でも三国志 唐 清とかと違って書いている人少なくて人口密度低そうだし、いいかな。
ここでも短命の相とか予言がちらっと出ていて物語を彩る。
内容(「BOOK」データベースより)
思わず立ちすくんだ子鵬は、侯景の意図を察して慄然とした。侯景が船底に穴をうがち、そこから水中に逃れようとしていたのである。「おれは漢帝だ。陛下と呼ばぬか!」南北両朝から叛逆者とされる侯景の遺した、それが最期の言葉だった…(表題作より)。長江の流れの如く悠久な中国の歴史。その檜舞台に立つことのかなわなかった人物たちに命を吹き込んだ珠玉の歴史ロマン。
内容:黒竜の城.天山の舞姫.長安妖月記.白日、斜めなり.長江落日賦

以下 ネタバレありの感想です。
未読の方 ネタバレ厳禁の方はリターン下さい。
よろしいですね??
それではどうぞ。
全体を通して一つの雰囲気を纏っています。
まさに「落日」、滅びの切なさ 哀れさ 一種の美しさが胸を打つ。
第1話 『黒竜の城』
あらすじ:明の永楽帝の命を受け、東北辺境の地を督撫すべく派遣された亦失哈。
凍結した黒竜江を越えた彼は未知の城を見出し、そこに住まう不老の妖女に遭遇し対決する。
・・・そこはかとなく、不気味・・・。でもやっぱり読ませる力は流石!
驚いたのが亦失哈が宦官だったこと!
いや、ヒントはあったんですよ妖女の術にかからなかったり、生贄になった部下の遺体に「抜き取られる精があるのはうらやましいことだ」とか言ったり、偶然股間を触られただけで激昂しちゃったりと・・・でも全然気付かなかった。
推理小説の叙述トリックみたいなやられた感がありました・・・・!ただ出世の為に自らというあたりで、すごい出世欲やなと思って引いた。今までがなまじ正統派ヒーローっぽかったので余計かも。
永楽帝の時代は鄭和とか宦官が活躍した時代でしたがこの方は知らず・・こういうメジャーではない方を取り上げるのっていいな。
第2話 『天山の舞姫』
あらすじ:唐の玄宗皇帝の御世、サラセン帝国の動向を探るべく派遣された李炎。
彼は故郷長安を遠く離れたフェルガナの地で、超常の力を持つ妖艶な舞姫・ゼノビアと出会って-。
・・・サラセン帝国って初耳。国も登場人物も馴染みがなく、どうも頭に入って来ません。
ゼノビアの不思議な能力と悲恋が物語を彩る。
第3話 『長安妖月記』
あらすじ:唐代初期、皇帝李世民が老境にあって人格が一変し、未曾有の侵略戦争を企むようになってしまう。
兵部尚書・李靖は、皇帝の豹変の裏に予言に示された方師の暗躍がある事を知り、二人の武将を召集し、事に当たる。
・・・身体の乗っ取り ときましたか~って思いましたがそれよりも司天監(天文学・暦学・占星の国家的権威)の李順風がとツボりました!!予言の書とか唐王朝がどれだけ続くか李の絵で示す(You tubeで知ったエピソードキタ━(゚∀゚)━!)とかめっちゃ好み。
この人の妻とか部下視点での小説書いたら面白いだろうな。
第4話 『白日、斜めなり』
あらすじ:三国時代中期、魏より蜀に亡命し客将として迎えられた夏侯覇の話。
・・・夏侯家と張飛が親戚とというのは、意外かもしれないが『孔明のヨメ』で知っていたのできたきた と思った(笑)
しかし劉禅の皇后が張飛の娘だとは知らなくてびっくり。
姪が皇后なので司馬一族が支配しつつある魏から亡命した数奇な人生の彼の視点から視た蜀。
蜀が史官職( 歴史を編集し、 文書 ・記録を作成する職)がない文化後進国とは思わず驚きました。智謀で知られた孔明がいたのに・・・。
劉禅が悪い意味で人の良さを発揮してしまうあたり、凡庸な人が国の頂点になってしまったがゆえに逆に八方美人 優柔不断になってしまった感がある。しかし劉禅を笑えない。私も平凡な人だから、同じ立場なら現状維持を選んでしまうかも・・・。
日本人には結構人気のある劉備のことを無能者と断じたのには驚いた。そう書きつつも 人を統率する器量だけは豊かな資質があると書いてあるのも興味深い。
第5話 『長江落日賦』
南北朝時代後期、一族を煮殺され魏より梁に亡命した侯景は、叛乱により武帝を殺害し皇位を簒奪。
世に言う侯景の乱である。
いまや『宇宙大将軍』を自称するまでとなった侯景討伐を目論む羊侃(ようがん)の三男:子鵬(字)の話。
・・・調べてみたら彼、実在の人物だった!(いや歴史小説だから当たり前)
いや~この乱と彼の短い生涯も映画や漫画にし甲斐あるわ-。
小説に書いてみたい 二番煎じだけど。
でも三国志 唐 清とかと違って書いている人少なくて人口密度低そうだし、いいかな。
ここでも短命の相とか予言がちらっと出ていて物語を彩る。
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