逃した魚は空だった
「私も好きだよ。」
言葉に出して答える事を拒んだのは、返事をしないことで優位に立ちたいという無意識にずるい計算をしたから。
返事を聞きに戻ってきてほしいと切なる願いもあった。
言わなくても分かり合えてる、という無邪気さを装った驕りも心の何処かにあった。
志保さんが現れる前に、私も好きだと告げていたら。
瀬川君の言葉に押されなかったら、頷かなかったら。
もしかしたら、ウエディングドレスを着て、新一の隣で教会で立っていたのは自分だったかもしれない。
何度も考えてしまうのは、叶う事ない、もしもの世界。
道が分かれた今になって口にさえ出せない。出せたとしても伝えても、もう遅い。
既に、蘭と新一が歩む道は別々に分かれている。
声に出して想いを告げる事もなく、口に出せない想いを胸に秘めたまま。
「…っ」(新一、助けてよぉ!)
空はこんなに青くて広いのに、彼がいないだけで、息さえも上手く出来ない-。
(どうして?)
逃した魚は空だった

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後書 3章で閉幕の予定でした逃がした魚シリーズ…何と、蘭ちゃん編が下りてきました。すごいなヒロイン力(笑)
一滴の水シリーズで蘭が新志の結婚式を目撃後、時々過呼吸起こしている 小五郎視点”迷探偵の独白”の頃の蘭視点話です。
英理編で”彼女って実は小五郎を心の底では凄く頼りにしていて、でもそれが空気みたいで気が付かない。”と書きました。
正反対のようで似たもの母娘なので、同じように蘭は新一を空気みたいに絶対必要不可欠なものとして捉えつつ、自覚がないまま手放してしまい(逃げられてしまい)、空気がなくて苦しい金魚パクパク みたいになっている感じです。
コメントや拍手頂けると作者が狂喜乱舞ゥレシ━.:*゚..:。:.━(Pq'v`◎*)━.:*゚:.。:.━ィィして次なる作品のエネルギーにもなりますので、宜しくお願い致します(((o(*゚▽゚*)o)))
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