散華(劉→秀x?)

2010.07.04 23:53|彩雲国物語
満開の桜の下、一目で恋に落ちた。
「王」という名の幽霊だった劉輝を見てくれた秀麗に。
優しさを暖かさをくれた彼女に。
その彼女が今日嫁ぐ。
自分ではない男の元に。

「主上、こんなところで何やってるんですか?政務は?」
「花見なのだ」
側近がちっとも仕事を進まない王を嗜めるも
理由を分かっているのか、それ以上忠告してこない。
「一刻でお戻り下さい。」
その代わり告げられたのは、「花見」の時間制限。
「・・・分かった。」


彼女と初めて出合った桜の元へ歩く。
見上げるとすでに盛りを過ぎた桜はかなり、散り始めていた。
『桜、折っちゃったの!?』
『もうぽろぽろこぼして子供みたいな人ね』
想い出すのは、秀麗が貴妃として後宮にいてくれた夢のような時間。
鮮やかに蘇る確かにあった日々。
突如嵐のような感情が湧き出た。
『…っ……っ!』
唇を噛み締めるが、抑えきれない鳴咽が漏れる。
それを皮切りに彼の両目から涙が溢れ出す。

愛してる
愛してる
愛してる   押さえつけても 沈めようと湧き上がってくるこの想い
愛されたい
愛されたい  余の妻になって欲しい
共に人生を歩んで欲しい
尽きせぬ欲求

振られても振られても求婚し続けた日々。
切なくて、でも失恋すらも、紫劉輝として在れる時。
王ではなく「ただの男」としての大切な刹那。
但し、王として紅家の権力を求め、紅家長姫を欲っした時点で、もうその権利をなくしてしまった。
秀麗がよく語ってくれた薔薇姫の話の人間の男になりたかった。
ただ彼女自身の心のみを欲っし、愛情のみでもってその心を得た人間の男。
だが、彼女の持つ血統の力を頼りした時点で劉輝は、
薔薇姫の持つ不思議な能力をあてにし監禁した強欲な主になった。
・・・なってしまった。
だからもう彼女の婚姻に異を唱える権利などない。

なのに、心の底からの願いはその理屈に是と言わない。
彼女の心が、欲しいと叫ぶ。
自業自得だと分かっていながら、叶わぬ思いに身をこがした。
切り捨てるほども叶わぬほど魂と同化した恋が、彼の心を切り裂いた。
慣れているはずだった。
自分の願いが叶わぬことなど。
幼い頃の願いは、「母上に愛されたい」。
微笑みかけて欲しい。
優しい言葉、眼差し、温もりをかけられたい。
「お前など産まなければ良かった!」
・・・遂に叶うことはなかったけれど。

それを代わりに彼女は叶えてくれた。
だからもう十分だ。
そう思い込もうとした。あがいた。努力した。
けれど魂が違うと叫ぶ。切なくて苦しい。


・・・もう少し「人間の男」として彼女に接し続けていたら。
誠意を尽くしていたら願いは叶っただろうか。
独り劉輝は苦しげに顔を歪めたかと思うと頭を振る。
答えは否。
本当はもう分かっている。
余は秀麗がいなくては生きていけないが彼女は違う。
彼の聡明さは容赦なく真実を暴く。
彼女に愛されている、好かれているとは思う。
ただそれは絶対、唯一無二の存在に向ける愛情ではない。
その他大勢に向ける好意に過ぎない。
誰にでも優しい彼女。
それを偽善と言う人もいるだろう。
だが違う。ただ単に彼女の愛情の器が大きいだけなのだ。
好意の立ち位置が絶対に違う。

それを自覚して余計胸の切なさが増した。
自分はこんなにも秀麗を愛しているのに、
彼女はそうではない。
その理不尽さにまた涙が零れる。
理不尽だと思うことさえ、不条理だと理解しながら。


突然、ざあっと強風が桜にふきつける。
残り少ない桜の花びらが、舞い落ちる。


『…それでも』
『それでも余は』
『余は秀麗そなたを愛してる』



とうに散った生涯ただ一つの華(恋)を胸に秘めて、生涯を生きる



*****************************
4月にやろうと日記で書いた彩雲国物語の二次小説がやっとUPです☆
最初、劉輝と秀麗の王道を応援していた私ですが、
物語が進むにつれ李姫→清秀になってきています。
そして劉輝は、つくづく切ない片思いが似合う(→何気にひどい)なあと思って
一気に書いてしまいました。
原作でも彼が切ない思いすればするほど萌えます☆
ただ原作で最終手段を選んだのだけはちょっと許せませんが、これが逆に
秀麗を諦める決定打になったと思います。
で上記のような作品になるのです。
(1巻の最後からいっても秀麗ちゃんには、出世街道歩いて歴史に名を刻んでいてもらわないとね。
そして更に言うなら、子供を産んで欲しいな。)

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30代OLが歴史・節約・日頃・二次小説のことを書き綴っています。 コメント大歓迎★ ですが、宣伝や本文に何も関係ないもの もしくは激しく不愉快、コピペ等、そういった類は、私の判断により 誠に勝手ながら削除の方向です。楽しく語りたいです♪ 二次創作小説もありますが、このサイトは個人作成のものであり、原作者・出版社とは一切関係がありません。私なりの解釈を加えた二次小説もございますので自己責任でご覧になって下さい。

雪月花桜

Author:雪月花桜
タイトル通り歴史大好きな女がブログしてます。
歴史を元にした小説なんかも大好きでそれらについても語ったり、短編なんか書いてみたいです。
現在それ以外でも二次小説をupしておりますし、OLなりの節約・日々の徒然を語っています。

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